メルロー

メルロー：赤ワイン用ブドウ品種

メルロー（Merlot）は、フランスのボルドー地方を原産とする、世界的に有名な赤ワイン用ブドウ品種です。その栽培は広く、さまざまな地域で独自の風味を持つワインが造られています。

特徴

メルローは、同じボルドーの主要品種であるカベルネ・ソーヴィニョンと比較されることが多いです。メルローの色合いは、カベルネ・ソーヴィニョンに比べてやや朱色を帯びています。香りについては、カベルネ・ソーヴィニョンがヴァイオレットやブルーベリーのようなフローラルなニュアンスを持つ一方、メルローはプルーンのような熟した黒い果実の香りが特徴的です。

味わいは、カベルネ・ソーヴィニョンほど酸味やタンニンが強くなく、芳醇でまろやかな口当たりが魅力です。そのため、比較的飲みやすい赤ワインとして人気があります。

主な産地

ボルドー地方

ボルドー地方では、ジロンド川を境に、ワインの個性が大きく異なります。左岸地区のメドックやグラーヴではカベルネ・ソーヴィニョンが主体であるのに対し、ドルドーニュ川右岸のサンテミリオンやポムロルなどではメルローが主体となっています。これは、メルローが比較的重い石灰質の土壌を好むためです。ただし、左岸地区でも土壌が重い場所では、メルローを多くブレンドしたワインが造られています。

フランスのその他地域

ボルドーを取り囲むアキテーヌ地方のドルドーニュ県やロット＝エ＝ガロンヌ県でも、メルローやカベルネ・ソーヴィニョンを使った、ボルドーと似たスタイルのワインが生産されています。また、南部のラングドック＝ルシヨン地方では、1980年前後からヴァン・ド・ペイクラスのワインでメルローを使ったセパージュワインが多く造られるようになり、中にはボルドーのシャトーものに匹敵する高品質なワインも存在します。

イタリア

イタリアでは、ヴェネト州などでIGT規格のメルローワインが数多く生産されています。

日本

日本では、高温多湿な気候がカベルネ・ソーヴィニョンやピノ・ノワールの栽培には不向きである一方、メルローは比較的日本の気候に適応しやすく、山梨県や長野県などで高品質なワインが造られています。特に長野県塩尻市桔梗ヶ原地区はメルローの産地として知られ、シャトー・メルシャンなどのワイナリーがメルローワインを生産しています。

メルローは、その土地の気候や土壌によって様々な表情を見せる、奥深いブドウ品種です。世界各地で造られるメルローワインを飲み比べてみるのも、ワインの楽しみ方の一つと言えるでしょう。

関連項目

* ワイン用葡萄品種の一覧

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