マルベル堂

マルベル堂の歴史と魅力

日本のプロマイド文化を支えてきたマルベル堂。株式会社マルベルが運営するこの店舗は、昭和の名優や歌手、アイドルたちの美しい写真を販売する日本唯一のプロマイド専門店です。約2800名のスターたちが撮影されており、保有するネガは8万5000版以上にも上ります。

創業からの歩み

1921年5月5日、三ツ澤実四郎によって東京・浅草にマルベル堂は創業されました。彼は洋食店の経営が不振だったため、映画俳優のスチール写真を販売することで収入を得ることを考えました。その後、プロマイドという形で映画スターの写真を販売し、マルベル堂のスタートを切りました。

わずか数年のうちに卸売部門を設け、関東大震災を乗り越えながら映画スターの「人気俳優番付」を発行し、販路を広げていきました。プロマイドの登場は当時の映画産業の発展と共にあり、多くの愛好者を引きつけました。

昭和の黄金期

1940年代、マルベル堂は撮影スタジオを設け、プロマイドの撮影から製造、販売までを自社で完結させる体制を構築しました。特に戦後は著名な俳優や歌手たちとの提携が進み、彼らのプロマイド撮影は一つのステータスシンボルとなっていました。数多くのスターがマルベル堂を訪れ、その成果物が人気のバロメーターとしても機能していました。

1970年代にはカラーフィルムを用いたプロマイド撮影が始まり、アイドルブームと共に需要は一気に増加。世代を超えた文化として根付くこととなりました。

平成以降の変革

1980年代後半、アイドルブームが一段落し、プロマイドの需要も減少しましたが、2000年代には昭和レトロのブームが到来。若い世代もマルベル堂に目を向け、プロマイドは新たな価値を見出すこととなりました。より多様な商品展開を行い、時代の変化に対応する姿勢を貫いています。

商品の魅力

マルベル堂で販売されるプロマイドは専属カメラマンが撮影したもので、オリジナルサイズ（8.9cm×14cm）の印刷物はそれぞれビニール入りで販売されています。さらに、プロマイドの引き延ばしや没入型の商品も提供しており、懐かしのアイドルプロマイドから昭和歌謡に至るまで、多彩な関連商品が揃います。

撮影体験と文化の保存

現在でもマルベル堂のスタジオではプロマイド撮影や記念撮影が行われており、特に「マルベル80's」プランでは1980年代風の衣装を使った撮影を体験できます。「マルベルポーズ」と呼ばれる独特のポーズを取りながら、昭和のアイドル気分を味わうことができます。

結び

マルベル堂は単なる販売店にとどまらず、日本のポップカルチャーの象徴とも言える存在です。多くのスターたちの瞬間を切り取ったプロマイドは、訪れる人々に深い感動を与え、時代を超えた記憶の中に生き続けることでしょう。

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