マル・オブ・キンタイア規定

マル・オブ・キンタイア規定とは

マル・オブ・キンタイア規定（Mull of Kintyre rule）は、イギリスの全英映像等級審査機構（BBFC）が、かつて採用していたとされる、わいせつ物の規制に関する非公式なガイドラインです。マル・オブ・キンタイア検査（Mull of Kintyre test）とも呼ばれます。

この規定は、半ば伝説と化しており、BBFCが映像やビデオの一般公開を認めるかどうかの基準とされていました。その内容は、「スクリーンに映る陰茎の勃起角度は、スコットランドの地図でいうキンタイア岬の角度を超えてはならない」というものです。スティーヴン・プラットは、「マル・オブ・キンタイア検査によれば、地図で見るスコットランドの半島よりも勃起しているペニスのショットを含む映画は、放送されない可能性がある」と表現しています。

起源と解釈

ハル大学のジョン・ホイルズ教授によれば、BBFCがこのガイドラインを採用したのは1992年とされています。彼は、「男性の演者のペニスは、わずかな勃起を超えてはならない」と述べています。映画「トレインスポッティング」に関わったスコットランド人の法律家、リチャード・フィンドレーは、1999年のインタビューで「以前は、マッキンタイア岬と同程度であれば問題なかったが、現在では男性の裸に関して、安易に古いことわざに頼ることはできない」と語っています。

女性向けポルノへの影響

エミリー・ダバリーによれば、この規定は1990年代に流行しかけた女性向けポルノにとって、有害ですらあったとされています。「興奮している状態の男性を表現することができない」ため、許容範囲内の表現では「グッとくるものはほとんどない」からです。彼女は、この規定がダブルスタンダードであり、女性は視覚的な性描写には反応を示さないという認識があると批判しています。

BBFCの公式見解

一方で、BBFCは2000年にこの規定について広報を通じてコメントを発表しています。BBFCは、分類のために使用している基準に、そのような規定は存在しないと述べています。

マル・オブ・キンタイア規定は、その真偽は定かではありませんが、イギリスにおけるわいせつ物規制の一つの側面を示す、興味深い事例と言えるでしょう。伝説的なガイドラインとして、現在も語り継がれています。

もう一度検索