マル急計画

マル急計画

マル急計画とは、日本海軍の戦備計画の一つであり、艦艇の急速な建造を目的とした戦時計画を指します。1940年11月15日、出師準備作業の第1着作業が発令され、その後、対米戦争への備えとしてさらに強化を図る必要が生じ、1941年8月15日に計画の実行が開始されました。この計画は、急速に軍備を増強するため、「急」の文字を丸で囲んで「マル急計画」と名付けられました。

概要

マル急計画の実施にあたっては、臨時軍事費を用い、第79回、第81回の帝国議会を通して予算案が成立しました。主眼は戦争中の艦艇の消耗を補充し、新たに艦艇の建造を行うことにありました。特に防備用小艦艇の充実が強調され、航空増勢計画も含まれています。この計画では、本来の完成予定を1年早め、1942年度末までに完了させることが目標とされました。

具体的な建造計画には、航空母艦1隻、巡洋艦2隻、駆逐艦や潜水艦など、合計293隻、約30万トンに及ぶ艦艇が含まれていました。予算は総額16億7303万4.1千円となり、艦艇の建造は1942年1月以降に着工されることになりましたが、戦局の変動により計画は逐次変更され、最終的には228隻が完成し、65隻の建造が中止または取止めとなりました。

具体的な計画艦艇

以下の艦艇がマル急計画によって計画されました。なお、*印は建造中止または取止めが決定された艦艇です。

• - 重巡洋艦: 2隻（伊吹、未成）
• - 航空母艦: 1隻（雲龍）
• - 水上機母艦: 1隻（未成）
• - 駆逐艦（甲）: 16隻（夕雲型）
• - 駆逐艦（乙）: 10隻（秋月型）
• - 潜水艦: 24隻（乙型、丙型、中型、小型）
• - 掃海艇: 28隻
• - 駆潜艇: 20隻
• - 敷設艇: 14隻（平島型）
• - 掃海特務艇: 16隻
• - 駆潜特務艇: 100隻
• - 魚雷艇: 18隻

マル急計画は、日本海軍にとって非常に重要な施策でしたが、計画の実行が遅れたり、戦況の影響を受けたりしたため、当初の計画通りに進まない部分もありました。その結果、目標とした艦艇の大部分は完成することなく、未完成の艦艇も多く存在する状態で終息を迎えました。

参考文献

• - 防衛庁防衛研修所戦史室『戦史叢書 海軍軍戦備〈1〉 昭和十六年十一月まで』
• - 海軍歴史保存会『日本海軍史』第4巻

この計画に関する資料やデータは、海軍戦歴を理解する上で重要であり、日本の戦時体制を考察する手助けとなるでしょう。

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