マレーシア・フィルハーモニー管弦楽団

マレーシア・フィルハーモニー管弦楽団

マレーシア・フィルハーモニー管弦楽団は、マレーシアの首都クアラルンプールに活動の拠点を置く、この国を代表するプロフェッショナルなオーケストラです。英語名称はMalaysian Philharmonic Orchestraと呼ばれ、その頭文字を取ってMPOと略されることもあります。

設立の経緯

MPOは1997年に誕生しました。その設立を強力に後援したのは、マレーシアを代表する巨大国営石油ガス企業、ペトロナスです。オーケストラ創設にあたり、ペトロナスは潤沢な資金を提供し、世界中から才能ある音楽家を集めるための大規模なオーディションを実施しました。その結果、世界25ヶ国から105名もの優秀な演奏家が団員として迎え入れられました。初代首席指揮者にはケース・バケルス氏が指名され、組織体制が整えられました。そして、1998年8月17日に記念すべき旗揚げ公演を成功させました。設立後わずかな期間で、世界規模のオーディションを通じて一気に国際的な水準のオーケストラを築き上げたことは、当時クラシック音楽界で大きな話題となりました。その高い実力から、たちまちアジア有数のオーケストラとして認められるようになります。

本拠地と活動

オーケストラの本拠地は、クアラルンプール中心部のランドマークであるペトロナスツインタワー内に設けられた、ペトロナス・フィルハーモニック・ホールです。KLCC（Kuala Lumpur City Centre）エリアに位置するこの優れた音響を誇る専用ホールで、MPOは定期的なコンサートシリーズを中心に活発な演奏活動を展開しています。

国内での公演に加え、マレーシア国外への遠征公演も積極的に行い、国際的なプレゼンスを高めています。

レパートリーの特徴

MPOの活動には、本拠地であるペトロナス・フィルハーモニック・ホールの使用に関する契約上の制約が存在します。この契約のため、ヨハン・セバスティアン・バッハが作曲したカンタータや、ガブリエル・フォーレの代表作『レクイエム』といった、宗教的な性格を持つ特定の楽曲は演奏することができません。これは、他の多くの主要なオーケストラとは異なる、MPOのレパートリーにおける特徴的な点と言えます。

音楽監督・首席指揮者

これまでにマレーシア・フィルハーモニー管弦楽団の芸術的な方向性を担ってきた音楽監督や首席指揮者は以下の通りです。

ケース・バケルス（初代首席指揮者、1997年 - 2005年）
マティアス・バーメルト（2005年 - 2008年）
クラウス・ペーター・フロール（2008年 - 2014年）
ファビオ・メケッティ（2014年 - 2020年）
準メルクル（2021年 - 2022年）
広上淳一（2025年 - 、首席指揮者として就任予定）

巨大企業の後援による盤石な基盤と、世界中から集結した精鋭たちによって構成されるマレーシア・フィルハーモニー管弦楽団は、アジアの音楽シーンにおいて重要な役割を果たしています。専用ホールでの質の高い演奏と、国内外での活動を通じて、更なる芸術的な高みを目指しています。特に、日本人指揮者である広上淳一氏の首席指揮者就任には、日本を含めたアジア各国から大きな期待が寄せられています。

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