マンディンゴ

映画『マンディンゴ』の概要とストーリー

『マンディンゴ』は1975年に公開されたアメリカ映画で、リチャード・フライシャーが監督を務めました。物語は、南北戦争の発端となる約20年前の南部を舞台に、奴隷制度のもとで形成される人間関係や倫理的葛藤を描いています。原作はカイル・オンストットによる同名の長編小説であり、この映画はその内容を基にしています。日本では1975年10月18日に公開され、大きな注目を集めました。

映画では、奴隷牧場を運営するマクスウェル一家の栄光と衰退が中心テーマとして描かれており、特に主人公のハモンドと彼が所有する奴隷たちの複雑な関係が物語の核を成しています。その設定は、奴隷制の非倫理性を浮き彫りにし、視聴者に深く考えさせる内容となっています。

『マンディンゴ』は歴史的な背景を持ちながらも、現代の視点で見ると一種のブラックスプロイテーション映画としても捉えられる点が指摘されています。特に、映画公開当時には「アメリカ史上最大のタブー＜奴隷牧場＞に初めて挑んだ一千万部の超ベストセラー鮮烈の映画化」というキャッチフレーズで、その過激な内容が話題となりました。また、映画は世界的にヒットしたものの、批評家からは厳しい意見も寄せられています。著名な映画評論家ロジャー・イーバートはこの作品を「人種差別的なクズだ」と厳しく非難し、「ニューヨーク・タイムズ」のヴィセント・キャンビーも映画の質について同様に否定的な評価を下しました。

ストーリーの詳細

物語は、ルイジアナ州のファルコンハーストプランテーションで始まります。ここでは、ウォーレンとその息子ハモンドが奴隷の売買を行っており、ハモンドは父親の夢を受け継ぎ、たくましい黒人奴隷「マンディンゴ」を繁殖させようと奮闘しています。ウォーレンは「マンディンゴ」と呼ばれる強じんな黒人奴隷の繁殖を望んでおり、そのために娘ビッグ・パールと相応しいオスのマンディンゴを探し続けます。

一方、ハモンドは従妹ブランチとの結婚を考えますが、彼女を巡る厄介な関係や過去の経験が彼の心に影を落とします。そこで、ハモンドはウッドフォード農場に向かい、ブランチの兄とともに縁談を進めますが、途中で若い黒人娘エレンに出会い、彼女への感情が芽生えます。エレンは明らかにハモンドに影響を与える存在ですが、彼にはブランチとの関係があるため、心の中で葛藤が生まれます。エレンをめぐる物語と、ハモンドの愛情は互いに絡み合い、やがて彼の家庭に大きな亀裂を生むことになります。

ハモンドがさまざまな出来事を経てマンディンゴとエレンを手に入れたことで、物語はさらに複雑化していきますが、意外な展開が待ち受けています。ブランチの嫉妬心がエレンに向けられ、暴力的な悲劇が生じる中で、人物たちの運命が交錯し、奴隷制度の非人道性がさらなる深刻さを増していくのです。

最終的に、物語はハモンドの家族と奴隷たちの間の緊張と対立を描き出し、最後には彼が抱える悲惨な真実を明らかにします。『マンディンゴ』は、見過ごされがちな歴史の一面を振り返らせ、視聴者に強いメッセージを伝える作品に仕上がっています。

もう一度検索