マンハイム天文台

マンハイム天文台は、1772年から1774年にかけてドイツのマンハイムに建設された天文台を備えた塔で、1880年まで天体観測に利用されていました。この天文台の歴史は、1751年にハイデルベルクで設立された物理学会が、実験物理学と数学の教授としてクリスチャン・マイヤーを任命したことに始まります。マイヤーは天文学の中心地であったパリに派遣され、そこで四分儀を贈られたことがきっかけで、天文学の研究に携わるようになりました。彼は1759年にハレー彗星の回帰を観測し、1761年には金星の日面通過を観測するなど、初期の段階から重要な観測を行っています。

1771年1月1日、マイヤーは天文台の建設を提案し、その計画は翌1772年に承認されました。イエズス会の学校が設立されるとともに、多くの観測機器が購入され、マンハイム天文台は国際的に知られる天文台となりました。特にマイヤーは連星の観測に力を入れ、彼の観測結果はボーデの星図に多数記載されています。これらの連星の多くは、マイヤーによって初めて観測されたものです。

その後、天文台の所長はロジャー・バリー、エドゥアルト・シェーンフェルトへと引き継がれました。19世紀半ばには、シェーンフェルトが旧式化した観測機器を用いて星雲の観測を行っています。しかし、マンハイムが都市化するにつれて、天文台の立地は観測に不向きになっていきました。1880年、当時の所長であったカール・ヴィルヘルム・ファーレンタイナーの時代に、天文台はカールスルーエに移設されることになりました。しかし、カールスルーエへの移転後、目覚ましい観測実績はすぐに現れず、本格的な観測活動は、マックス・ヴォルフによって写真を使った観測が開始されてからとなります。

マンハイム天文台は、18世紀の天文学研究において重要な役割を果たし、連星の観測やハレー彗星、金星の日面通過といった重要な天体現象の観測に貢献しました。その歴史は、都市化と技術の進歩によって天文台の移転を余儀なくされたものの、その遺産は現在も語り継がれています。現在、マンハイムに残る旧天文台の塔は、スタジオとして利用されており、その歴史を静かに物語っています。天文台がカールスルーエに移転した後も、写真技術の導入によって新たな天文学研究が展開され、観測技術の発展とともに天文学の進歩が促されました。

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