マンフレッド・マンズ・アース・バンド

マンフレッド・マンズ・アース・バンド：変遷を遂げたロックバンドの軌跡

マンフレッド・マンズ・アース・バンドは、南アフリカ出身のキーボード奏者、マンフレッド・マンが率いるイギリスのロックバンドです。彼は過去に「マンフレッド・マン」や「マンフレッド・マン・チャプター・スリー」といったバンドを率いており、このアース・バンドは彼にとって3番目のリーダーバンドとなります。

プログレッシブ・ロック時代（1971年 - 1975年）

1960年代、マンフレッド・マンはイギリスに拠点を移し、ブリティッシュビートバンド「マンフレッド・マン」や、ジャズロックバンド「マンフレッド・マン・チャプター・スリー」を結成して活動しました。そして、チャプターIII解散後の1971年、ミック・ロジャース（ギター、ボーカル）、コリン・パッテンデン（ベース）、クリス・スレイド（ドラム）というメンバーと共に新たなバンドを始動させました。当初は「マンフレッド・マン」や「アースバンド」と名乗っていましたが、1972年に発表した1stアルバム『マンフレッド・マンズ・アース・バンド』を機に、現在のバンド名に落ち着きました。

音楽性は、当時普及し始めたばかりのモーグ・シンセサイザーを大胆に取り入れたプログレッシブ・ロックを展開。ボブ・ディランの楽曲を好んでカバーするなど、独自の音楽性を追求しました。1975年発表の6thアルバム『Nightingales & Bombers』までは、プログレッシブ・ハードロック色が特に濃い時期でした。

ポップ路線への転換とその後（1975年 - 現在）

1975年、ボーカルも担当していたミック・ロジャースが脱退。後任として、当初はスコーピオンズのウリ・ジョン・ロートにオファーするも実現せず、代わりにクリス・トンプソン（ボーカル）とデイヴ・フレット（ギター）が加入し、5人編成となります。この頃から、バンドはよりポップな要素を取り入れた音楽へと移行していきます。

1976年に発表した7thアルバム『静かなる叫び』は、バンドにとって初の全米チャート上位入りを果たし、シングルカットされたブルース・スプリングスティーンのカバー曲「光に目もくらみ」は全米1位を獲得する大ヒットとなりました。

1980年代に入ると、当時の流行であったAOR的なサウンドを取り入れるなど、さらにポピュラー化が進みました。しかし、1983年にはアフリカの民族音楽を意識した11thアルバム『サムホエア・イン・アフリカ』を発表するなど、実験的な試みも行っています。同年にはミック・ロジャースが復帰しました。

1990年代以降は、作品のリリースこそ減少したものの、往年のメンバーが参加しながらライブ活動を精力的に続けています。メンバーチェンジを繰り返しながらも、常に新たな音楽性を追求する姿勢は、多くのファンを魅了し続けています。

主なメンバー

マンフレッド・マン (Manfred Mann)：キーボード (1971年-)
ミック・ロジャース (Mick Rogers)：ギター、ボーカル (1971年-1975年、1983年-)
ロバート・ハート (Robert Hart)：ボーカル (2011年-)
スティーヴ・キンチ (Steve Kinch)：ベース (1991年-)
ジョン・リングウッド (John Lingwood)：ドラムス (1979年-1987年、2016年-)

ディスコグラフィー

マンフレッド・マンズ・アース・バンド (1972年)
グローリファイド・マグニファイド (1972年)
メッシン (1973年)
太陽の化身 (1973年)
ザ・グッド・アース (1974年)
ナイチンゲールとボンバーズ (1975年)
静かなる叫び (1976年)
ウォッチ (1978年)
エンジェル・ステーション (1979年)
チャンス (1980年)
サムホエア・イン・アフリカ (1983年)
クリミナル・タンゴ (1986年)
Masque (1987年)
Soft Vengeance (1996年)
2006 (2004年)


マンフレッド・マンズ・アース・バンドは、プログレッシブ・ロックからポップス、そして民族音楽まで、様々な音楽的要素を取り入れながら進化を続けてきた、稀有なロックバンドと言えるでしょう。

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