マーキュリー・レコード

マーキュリー・レコードの概要

マーキュリー・レコード（Mercury Records）は、1945年にアメリカ、イリノイ州シカゴで設立されたレコード会社です。当初はインディーズ・レーベルとして活動を始め、その後メジャー・レーベルの子会社となりました。現在はユニバーサル・ミュージック・グループの傘下にあり、イギリスに形式上の本部を持ちながらも、アメリカでは過去のカタログやリイシューにその名とロゴが使われています。

沿革

マーキュリー・レコードは、アーヴィン・グリーン、バール・アダムス、アーサー・タルマッジの3人によって設立されました。創業当初からR&Bやジャズ、クラシック、カントリー・ミュージックなど多岐にわたるジャンルを扱いましたが、戦後は特にソウル・ミュージック、ファンク、ロックンロールに注目し、数々のヒットを生み出しました。初期の代表的なアーティストにはエロール・ガーナーやダイナ・ワシントン、パティ・ペイジが名を連ねています。

1940年代後半には「キーノート・レコード」を買収し、1950年代には著名なプロデューサーのノーマン・グランツと組んで多くの成功を収めました。特にプラターズの「オンリー・ユー」は大ヒットを記録しました。また、1954年にはジャズ部門を独立させたエマーシー・レコードが設立され、更なる発展を遂げました。

1961年、マーキュリーはフィリップス・レコードに買収され、以後は傘下のレーベルとして運営されました。これ以降、親会社が再三にわたり変更されていきました。1980年代にはポリグラムに買収され、1998年にはMCAレコードを所有していたシーグラムに統合され、現在のユニバーサル・ミュージック・グループに至ります。マーキュリーは、R&Bに加え、ファンク系アーティストにも強い印象を持っています。

サブ・レーベル

マーキュリー・レコードの下にはいくつかのサブ・レーベルが存在します。このうち、エマーシー・レコードは特にジャズに特化したレーベルとして知られています。また、スマッシュ・レコードやフォンタナ・レコードも重要な役割を果たしてきました。

日本におけるマーキュリー・レコード

日本市場においては、マーキュリー・レコードの歴史も注目に値します。1952年にタイヘイレコードが日本での販売権を獲得し、その後キングレコードが販売権を取得しました。1970年には日本フォノグラムが販売権を取得し、1990年にはポリグラム日本法人が設立されました。1995年から2000年にかけて「マーキュリー・ミュージックエンタテインメント（MME）」という邦楽レーベルも存在しました。

かつての日本の主な所属アーティストには松田聖子や織田裕二、ZIGGY、筋肉少女帯、BUCK-TICK、KANなど多彩な顔ぶれが揃っています。このように、マーキュリー・レコードは長い歴史を通じて、多様な音楽を支え続けてきました。

結論

マーキュリー・レコードの設立から現在に至るまで、さまざまな音楽ジャンルに対応しながら成長を遂げてきました。今後もその名は、アメリカの音楽史において重要な存在であり続けることでしょう。音楽業界の流れに合わせて柔軟であり続けるマーキュリー・レコードは、アーティストとの関係を大切にし、新しい音楽を世に送り出していく重要な役割を担っています。

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