マーク・アイクホーン

マーク・アイクホーン：変則フォームで世界を制した男

マーク・アンソニー・アイクホーン（Mark Anthony Eichhorn、1960年11月21日 - ）は、アメリカ合衆国出身の元プロ野球選手。右投右打の投手として、特にトロント・ブルージェイズ時代に中継ぎとして活躍し、1992年、1993年のワールドシリーズ連覇に大きく貢献しました。

プロ入りと挫折、そして変革

カリフォルニア州サンノゼで生まれたアイクホーンは、カブリロ・カレッジ在学中の1979年にドラフト2巡目（全体30位）でトロント・ブルージェイズから指名を受けプロ入り。順調にステップアップを重ね、1982年にメジャーデビューを果たします。しかし、速球中心のピッチングは通用せず、初登板では完璧な内容ながらも勝ち星を挙げることができませんでした。さらに、ウインターリーグでの肩の負傷が発覚し、右肩回旋筋の断裂という診断を受けます。

この苦境を乗り越えるため、アイクホーンはピッチングフォームの大幅な変更を決意します。アル・ウイドマーコーチとジョン・サリバンコーチの指導のもと、スリークォーターから投げるフォームへと転向。すると、肩の痛みは消え、シンカー、スライダー、チェンジアップといった変化球でストライクを取れるようになり、特にスライダーの曲がりが格段に向上しました。こうして、アイクホーンは軟投派のピッチャーとして生まれ変わったのです。

ブルージェイズ黄金時代を支えたリリーバー

フォーム改造後、アイクホーンは1986年にメジャーに再昇格すると、中継ぎとして大活躍。69試合に登板し、防御率1.72、チーム最多タイの14勝、10セーブを記録し、157イニングを投げるなど、フル回転の活躍を見せました。翌1987年も89試合に登板し、安定した成績を残します。その後、アトランタ・ブレーブス、カリフォルニア・エンゼルスを経て、1992年にトロント・ブルージェイズに復帰。

ブルージェイズでは、持ち前の安定感でチームを支え、ア・リーグ東地区優勝、そしてワールドシリーズ連覇に貢献。1992年のワールドシリーズでは、古巣アトランタ・ブレーブスを相手に勝利し、1993年のワールドシリーズでは、フィラデルフィア・フィリーズを下し、2年連続で世界一の栄冠を手にしました。

引退後も野球への情熱を燃やして

ブルージェイズ退団後は、ボルチモア・オリオールズ、エンゼルスでプレーし、1996年に現役を引退。その後は、リトルリーグのコーチを務めたり、往年のブルージェイズのチームメイトと共に野球教室を開催するなど、野球への情熱を注いでいます。また、彼がコーチを務めるリトルリーグのチームを追ったドキュメンタリー番組が放送され、話題を呼びました。

サイドとアンダースローの中間から繰り出される独特な投球フォームと、多彩な変化球を武器に、チームの勝利に貢献したマーク・アイクホーン。その野球人生は、多くの人々に感動と勇気を与え続けています。

プレースタイル

サイドスロー気味のフォームから繰り出す、シンカー、スライダー、チェンジアップを武器とする技巧派リリーバー。特にスライダーの曲がりは大きく、打者を幻惑する。

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