マーク・エスパー

マーク・トーマス・エスパー

マーク・トーマス・エスパー（Mark Thomas Esper）は、1964年4月26日にペンシルベニア州ユニオンタウンで生まれたアメリカ合衆国の政治家であり、2019年7月から2020年11月まで国防長官を務めた。他にも陸軍長官を経験し、彼のキャリアは多岐にわたる。彼の経歴を掘り下げて見ていこう。

陸軍士官学校からの出発

エスパーは1986年5月に陸軍士官学校を卒業し、同年にはアメリカ陸軍に入隊した。彼は、将来的に国務長官を務めることになるマイク・ポンペオと同期となった。1990年には第101空挺師団に所属し、湾岸戦争に従軍した。戦後は国防総省副次官補として軍縮や核不拡散の問題に取り組むなど、軍事と外交の両面での経験を積んだ。

エスパーは2007年に陸軍中佐として除隊するまでキャリアを重ね、同年にはハーバード大学ケネディスクールで修士号を取得し、さらに2008年にはジョージ・ワシントン大学で博士号を取得した。

ロビー活動と政治家への転身

陸軍を退官した後、エスパーは政治の世界に身を投じ、2007年にはチャック・ヘーゲル上院議員の政策補佐官を務めた。その後、アメリカ航空宇宙産業協会やアメリカ商業会議所などでロビー活動を行う傍ら、2010年からは大手軍需企業レイセオンで副社長としての役割を担い、軍需産業との関わりを深めた。

エスパーは2017年に陸軍長官に就任し、2019年には国防長官代行を経て国防長官に指名される。彼は上院の承認を受けて正式に国防長官となり、アジア太平洋地域での安全保障や中東政策など、数々の重要な課題に取り組むことになった。

国防長官としての活動と国内外の対応

エスパーは任期中にも数多くの外交任務を遂行し、日本やオーストラリア、中国などと連携を強化した。特に2019年には日本の防衛相との会談を通じて、ホルムズ海峡の安全確保に向けた有志連合参加を呼びかけ、一方で北朝鮮との対話状況にも注意を払った。しかし、韓国との関係では、日韓秘密軍事情報保護協定についての意見の相違から、外交的な課題も生じた。

2020年のミネアポリスでの反人種差別デモに際しては、トランプ大統領が連邦軍の出動を示唆した際に、エスパーは反乱法の適用を支持しない意向を示したため、トランプ大統領との関係が悪化した。この発言によって、彼は解任の危機に直面することになった。

政権移行と回想録の出版

大統領選挙後、エスパーはバイデン政権への移行を妨害するトランプ大統領の試みに対して反対の声を上げた。その後、2022年には自身の回顧録『聖なる誓い』を出版し、在任中の多くの出来事や内部の圧力について語った。

家族とプライベート

エスパーは1989年にリア・レイシーと結婚し、3人の子供をもうけている。彼の公私にわたる活動は、アメリカの安全保障や軍事政策に多大な影響を与えたと言えるだろう。

エスパーのキャリアは、アメリカの国家安全保障における重要な一面を担っており、その功績と課題は今後も後世に語り継がれていくことだろう。

もう一度検索