マーク・ラヴァルマナナ

マーク・ラヴァルマナナ：マダガスカルの政治家、実業家

マーク・ラヴァルマナナ（Marc Ravalomanana, 1949年12月12日 - ）は、マダガスカルの政治家であり、実業家としても知られています。彼は同国の大統領を歴任し、マダガスカルの政治と経済に大きな影響を与えました。日本の報道では、ラバロマナナ、あるいはラベロマナナと表記されることもあります。

実業家としての経歴

ラヴァルマナナはメリナ族の出身です。幼少の頃、自家製のヨーグルトをポットに入れ、自転車でアンタナナリボ市内を売り歩いていました。このヨーグルトが評判を呼び、「ティコ」という会社を設立するに至ります。ティコ社は、マダガスカル最大の日用品メーカーに成長し、ラヴァルマナナ自身も有数の資産家となりました。

政界への進出

1999年、ラヴァルマナナはアンタナナリボの市長選挙に立候補します。選挙期間中には、アンタナナリボの清掃活動をボランティアで行い、市民からの支持を集め、見事当選を果たしました。

2001年大統領選挙

2001年、ラヴァルマナナは、当時の現職大統領であったディディエ・ラツィラカの対抗馬として、「私はマダガスカルを愛する」（TIM党）から大統領候補として選出されました。彼は、アメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトをモデルに、以下のような公約を掲げました。

経済の復興
外国からの投資増大
公共投資の増大
貧困層の救済
ラツィラカ政権下の腐敗構造の排除

選挙戦では、「恐れるものは何もない。ただ私を信じるだけでよい」というスローガンを掲げ、支持を訴えました。

2001年12月に行われた投票では、ラヴァルマナナが勝利を宣言したものの、ラツィラカは政権移譲を拒否し、自身も勝利宣言するという事態が発生しました。ラヴァルマナナが大統領への宣誓を行うと、ラツィラカは非常事態を宣言し、戒厳令を敷きました。ラツィラカと閣僚はトアマシナに臨時首都を置き、一国に2人の大統領が存在するという異常な状態となりました。軍部はラヴァルマナナを支持しましたが、ラツィラカ派は首都への道を封鎖し、燃料や医薬品の輸送を妨害するなど、激しく抵抗しました。しかし、2002年4月に最高裁判所がラヴァルマナナの勝利を確定すると、ラツィラカはゲリラ活動によって政権への妨害を続けました。同年8月、国連がラヴァルマナナ政権への支持を表明すると、ラツィラカはフランスへの亡命を受け入れました。その後、ラヴァルマナナは周辺国との関係改善に努め、アフリカ連合への復帰を果たしましたが、2002年の混乱によって経済状況は悪化し、その回復が急務となりました。

クーデター、亡命、そして帰国

2009年、野党指導者アンドリー・ラジョエリナをアンタナナリボ市長から解任したことがきっかけとなり、対立が激化しました。また、ラヴァルマナナに公金横領の容疑が持ち上がり、2009年1月から退陣要求デモが発生。軍が発砲し、犠牲者が出るなど、事態は混乱を極めました。ラヴァルマナナは国防相と軍参謀長を解任し、警察相を交代させましたが、野党側は政府庁舎を占拠するなど強硬手段に出ました。2月20日には排除されたものの、野党側は首都での大規模集会を続け、政治対立は深刻化の一途を辿りました。

2009年3月15日、ラジョエリナはマダガスカル軍に対し、大統領宮殿を占拠し野党陣営に加わるよう呼びかけました。1月にはデモに対し軍が実力行使を行ったこともあり、ラジョエリナの呼びかけに応じる形で、3月17日、野党支持の兵士が大統領宮殿を占拠しました。ラヴァルマナナは別の宮殿にいたため難を逃れましたが、同日中に大統領を辞任し、軍に権限を委譲しました。

ラジョエリナを首班とする暫定政府が発足した後、ラヴァルマナナは南アフリカ共和国に亡命しました。2013年の民政復帰を目指す大統領選挙には、夫人のララオ・ラヴァルマナナも立候補を表明しましたが、特別選挙法院によって違法な立候補者と認定され、出馬は叶いませんでした。

2014年10月、亡命先の南アフリカから帰国したものの拘束され、自宅に軟禁されていましたが、2015年5月に釈放されました。

2018年大統領選挙

2018年マダガスカル大統領選挙に立候補し、同年11月7日の第1回投票では35.3%の得票率で2位となり、決選投票に進みました。しかし、12月19日の決選投票では得票率44.3％にとどまり、ラジョエリナに敗れました。ラヴァルマナナは敗北を認め、ラジョエリナの勝利を祝福し、2019年1月19日のラジョエリナの大統領就任式にも出席しました。

関連項目

マダガスカルの歴史

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