マーショーン・リンチ

マーショーン・リンチ：野獣（ビーストモード）の軌跡

マーショーン・テレル・リンチ（Marshawn Terrell Lynch）は、1986年4月22日、カリフォルニア州オークランドで生まれました。ランニングバック（RB）として、その強靭なフィジカルと圧倒的な突破力で、多くのファンを魅了し、「ビーストモード」という異名で知られています。

プロ入り前

オークランド・テクニカル高校時代から、リンチは傑出した才能を発揮していました。高校3年生時には、わずか8試合の出場で1,722ヤードを走り、23タッチダウンを記録。ポストシーズンでも圧倒的なパフォーマンスを見せつけました。ディフェンスでも才能を発揮し、ディフェンスバックとして20インターセプトを記録、ディフェンスエンドとしても相手オフェンスにプレッシャーをかけました。クォーターバックやワイドレシーバーとしてもプレーするなど、多才ぶりを発揮しました。

カリフォルニア大学バークレー校に進学後、1年次は控え選手でしたが、71回のキャリーで628ヤードを獲得、8タッチダウンをあげました。2年次からは先発RBとして活躍し、196回のキャリーで1,246ヤードを獲得、10タッチダウンを記録しました。ラスベガスボウルではMVPに選ばれる活躍を見せました。ファンブルが少ないことも彼の強みでした。

2006年シーズンには、ハイズマン賞の候補にも挙げられましたが、受賞は逃しました。しかし、ホリデーボウルではMVPに選ばれ、大学でのキャリアを締めくくりました。3年間で大学歴代2位となる3230ヤードを走破し、大学記録となる17回の100ヤード以上のランを記録しました。

NFLキャリア

2007年のNFLドラフトで、バッファロー・ビルズから1巡目12位で指名を受け、プロのキャリアをスタートさせました。1年目から先発出場を果たし、1,115ヤードを走り7タッチダウンを記録するなど、新人ながら素晴らしい成績を残しました。2008年にも1,036ヤードを走り、プロボウルにも選出されました。

2009年には、銃の不法所持で逮捕されるなど、トラブルもありましたが、シアトル・シーホークスへのトレードを機に、再び輝きを取り戻します。

シーホークスでは、持ち前のランニング能力を存分に発揮し、チームを牽引。2010年のプレーオフでは、ニューオーリンズ・セインツ戦で67ヤードのタッチダウンランを決め、勝利に大きく貢献しました。このプレーは「ビーストモード」の象徴として、語り継がれています。2011年には1,204ヤードを走り12タッチダウンを記録し、チームの主力として活躍しました。

2013年シーズンには、シーホークスは第48回スーパーボウルに進出。リンチはスーパーボウル直前にスキットルズとスポンサー契約を結びました。2015年に一度引退しましたが、2017年にオークランド・レイダースで現役復帰。その後、再びシーホークスに復帰し、2019年シーズンを最後に、再び引退しました。

その他の活動

現役引退後は、解説者や文化人としても活動しています。テレビドラマ『ウエストワールド』や『マーダーヴィル ～謎解きはアドリブで～』に出演するなど、幅広い分野で活躍しています。また、NHLシアトル・クラーケンの少数株主にもなっています。

人物像

リンチは、寡黙でユニークなキャラクターとしても知られています。メディアへの露出を避け、独自のスタイルを貫いています。歯の縁を金色に塗ったり、カメラマンの前でバク転をしたりするなど、型破りな一面も持ち合わせています。

彼の親戚には、ロバート・ジョーダン、ジャマーカス・ラッセル、ジョシュ・ジョンソンなど、多くのNFL選手がいます。ロレンゾ・リンチはおじにあたります。

マーショーン・リンチは、その圧倒的なパフォーマンスと個性的なキャラクターで、アメリカンフットボール界に大きな足跡を残しました。彼の「ビーストモード」は、これからも多くのファンの記憶に刻まれることでしょう。

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