マージョリー・スティーブンソン

マージョリー・スティーブンソン（1885年1月24日 - 1948年12月12日）は、イギリスの生化学者であり、特に微生物の代謝研究において顕著な功績を残しました。彼女は化学微生物学の建設者として知られ、その分野の発展に大きく貢献しました。

ケンブリッジシャー州のバーウェルで生まれたスティーブンソンは、当初医学を志していましたが、経済的な理由で断念し、教師の道を選びました。その後、1911年にユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンで脂肪の代謝に関する研究を始め、科学者としてのキャリアをスタートさせました。

第一次世界大戦中、スティーブンソンはフランスで栄養士および看護士として従軍し、その献身的な働きが認められ、1918年には大英帝国勲章メンバー（MBE）を受勲しました。戦後、1919年からはケンブリッジ大学に移り、フレデリック・ホプキンズ教授のもとで微生物の代謝研究に本格的に取り組みました。ホプキンズは当時、ケンブリッジ大学を生化学研究の中心地として発展させた立役者でした。

スティーブンソンの研究は、微生物がどのようにエネルギーを獲得し、物質を変換するのかという基本的な疑問に答えるものでした。彼女の研究は、その後の微生物学の発展に不可欠な基礎知識を提供しました。1929年に発表された著書『細菌の代謝』（"Bacterial Metabolism"）は、その分野における重要な教科書として、1930年代以降、広く利用され、多くの研究者に影響を与えました。

1945年、スティーブンソンはキャスリーン・ロンズデールとともに、女性として初めて王立協会のフェローに選出されました。これは、彼女の科学に対する多大な貢献が認められた証であり、女性科学者の地位向上にも大きく貢献しました。また、スティーブンソンはイギリス微生物学会（Society for General Microbiology）の2代目の会長を務め、学会の発展にも尽力しました。

彼女の死後、その功績を記念して、1953年からイギリス微生物学会はMarjory Stephenson Memorial Lectureを設け、微生物学の分野で優れた業績を上げた研究者を称えています。この講演会は、スティーブンソンの精神を受け継ぎ、微生物学の発展を促進するための重要な機会となっています。

マージョリー・スティーブンソンは、微生物学の分野における先駆者として、その名前は永く記憶されることでしょう。

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