マーティン D-28

マーティンD-28の全貌

マーティンD-28は、C.F. Martin & Co., Inc.によって1931年から製造されているアコースティックギターの名機です。この楽器は、繊細な高音から力強い低音まで、驚くほどバランスの良い音色を持ちながら、豊かな音量を実現しています。これにより、カントリー、フォーク、ロックといったさまざまな音楽ジャンルで活用されてきました。

歴史の始まり

マーティン社の歴史は1916年にさかのぼります。この年、同社は大きなサイズのギターを製作し、当時としては異例のサイズ感から「ドレッドノート」という名称がつけられました。このギターの成功を受けて、1931年にはドレッドノートのモデル名の一部を取り入れたD-1とD-2の製作が始まります。D-1は後にD-18、D-2はD-28へと名前を変わり、その後の改良によって、1934年には14フレット・ジョイントが採用され、現在の形に近づいていきました。

不変の魅力

D-28は、カントリーミュージックの隆盛と共にマーティン社の主力モデルの地位を確立し、細かな仕様変更を重ねつつも基本設計は大きく変わっていません。発売から現在にかけて約90年の歴史を持つこのモデルは、D-18に加え、D-45、D-35、D-21などさまざまな派生モデルも作られています。

仕様変更の歴史

1946年には、トップ板の素材がアディロンダック・スプルースからシトカ・スプルースに変更されました。その後、1947年には第二次世界大戦後の材料入手困難から、ヘリンボーン・トリムがプラスティック・トリムに改められました。また、1969年にはブラジリアン・ローズウッドの希少性が高まり、ボディ材がインディアン・ローズウッドに変更されました。

現代のD-28

2017年に行われたモデルチェンジでは、フォワードシフト・ノンスキャロップド・ブレースを採用し、新たなネックプロファイルやべっ甲柄のピックガード、オープンタイプのペグが取り入れられました。さらに、トップ板にはエイジングトナーが塗布されています。現在のD-28スタンダードシリーズは、シトカ・スプルースのソリッドトップやインディアン・ローズウッドのバックとサイド、マホガニーネック、エボニー指板、エボニーブリッジ、メープルブリッジプレートなど高品質な材料が使用されています。製造の多くの過程は手作業で行われ、ハンドメイドの温もりと共に生み出されています。2022年時点での基本モデルの価格は2990ドルですが、1969年以前の古いモデルは高値で取引されることもあります。

バリエーションの魅力

D-28には、いくつかのバリエーションがあります。例えば、HD-28はスキャロップド・ブレースを採用し、よりオープンな音を持つことが特徴です。また、HD-28Vでは、オリジナルの戦前モデルのデザインが復元されています。D28Eはピックアップを装備した限定モデルや、D12-28といった12弦バージョンも存在します。

有名アーティストとともに

D-28は数多くの著名アーティストに愛用されてきました。ハンク・ウィリアムスやクラレンス・ホワイト、ジョニー・キャッシュ、ボブ・ディラン、ポール・マッカートニーなどがその例です。彼らの楽曲には、D-28の特異な音色が色濃く反映されています。

このように、マーティンD-28は歴史と現代の融合を象徴するギターであり、音楽界におけるその重要性はますます高まっています。

もう一度検索