ブラジリアン・ローズウッド

ブラジリアン・ローズウッド（Dalbergia nigra）

ブラジリアン・ローズウッド、学名Dalbergia nigraは、南アメリカのブラジルが原産の樹木で、ツルサイカチ属に属しています。この植物は家具や楽器製作に用いられ、高い密度と美しい木目を持つことから、特に北米で重宝されています。

原産地と名称

原産のブラジルにおいて、ブラジリアン・ローズウッドは「ジャカランダ・ダ・バイーア」と呼ばれています。これは、バイーア州に自生する植物に似た名前を持ちます。また、一般的には単に「ジャカランダ」とも呼ばれることがありますが、同名の別の植物（主に紫色の花を咲かせるノウゼンカズラ科の植物）と混同しないよう注意が必要です。

ブラジルにはサンパウロ植物園やリオデジャネイロ植物園があり、ここでは保護された大木を見ることができます。これらの樹木は芳香のある白い花を夏に咲かせ、果実を翌年に結実させます。

歴史的な利用と家具産業への影響

ブラジリアン・ローズウッドの木材は、18世紀以降にアメリカ大陸で仮名のインディアン・ローズウッドとして重用されてきました。当初はインド産ローズウッドの代替品とされましたが、1960年代にはブラジル政府が国内の木材産業を保護するための規制を強化しました。この結果、木材の価格が高騰し、希少価値が一層増しました。その後、1980年代に入ると、経済発展に伴い住宅開発が進み、ブラジリアン・ローズウッドは絶滅の危機に瀕するようになりました。

1992年にはワシントン条約の附属書Iに指定され、国際的な輸出規制が実施されましたが、保護活動が進んだおかげで、最近では法的に絶滅危惧種としての地位が見直されており、ブラジル国内の植生は回復傾向にあります。とはいえ、輸出入には各国での許可申請が必要です。

生態と発生環境

ブラジリアン・ローズウッドは主にブラジルの大西洋岸に分布し、特にバイーア州からサンパウロ州にかけて群生しています。高さは15〜20メートルに達し、幹の直径は最大80センチメートルにもなります。特徴的な果実は1〜2粒の種子を包む扁平な形状です。

この種の成長には土壌の質が重要で、特定の細菌との共生関係が必要です。これらの細菌が窒素を固定し、他の植物に栄養を供給します。日当たりの良い場所を好み、乾燥した環境にも耐性がありますが、自然再生能力は弱いとされており、発芽も簡単ではありません。

木材の特性

ブラジリアン・ローズウッドの木材は密度が0.87〜1.10 g/cm³と比較的重く、非常に頑丈で耐久性があります。そのため、フローリングや家具、楽器の材料として広く利用されています。特に音響特性に優れているため、ギターなどの楽器に最適とされています。

この木材の独特な香りは、昆虫や微生物から木材を保護する天然の特性でもあります。他のローズウッドの仲間と同様、美しい木目と強度を兼ね備えており、雑貨や芸術作品にも使用されます。

用途

ブラジリアン・ローズウッドは、家具や楽器の他にも、木製のチェスのセットや、皿、椀、ローソク立てなど多岐にわたる用途に使用されています。特に旋盤細工での利活用が顕著で、芸術作品や装飾品作りにも重宝されています。

こうした利点を持ちながらも、環境保護の観点から適切な管理と持続可能な利用が求められています。今後もブラジリアン・ローズウッドを守り育てていくための取り組みが重要です。

もう一度検索