マーティン・エレビー

マーティン・エレビー

マーティン・エレビー（Martin Ellerby）は、1957年にイギリスで誕生した現代作曲家です。イングランド北部のノッティンガムシャー州ワークソプで生まれ、その後の活動を通じてイギリス音楽シーンにおいて重要な存在となりました。

彼の音楽教育は、イギリスの首都ロンドンで受けられました。著名な教育機関である王立音楽大学に進学し、作曲をジョーゼフ・ホロヴィッツ氏のもとで深く学びました。公式な教育課程を修了した後も、個人的な指導をウィルフレッド・ジョーゼフ氏から受け、作曲家としての技術と表現力をさらに磨き上げました。

作曲活動と並行して、エレビー氏は長年にわたり教育者としても多くの功績を残しています。特にロンドン大学では12年間、音楽部門の要職を務めました。そこでは、作曲法や対位法といった専門的な科目の主任として、多くの学生を指導しました。また、楽譜出版社であるスタジオ・ミュージック・カンパニーの編集長として、作品の出版にも深く関わりました。大学以外でも、彼は幅広い教育機関で教鞭を執っています。例えば、イギリス空軍の音楽部門や、アメリカ合衆国のフロリダ州立大学、ヴァージニア州にあるセント・トーマス大学やクリストファー・ニューポート大学など、国内外の多様な場で若い音楽家たちの育成に携わりました。

エレビー氏の作品は、非常に多岐にわたるジャンルに及んでいます。オーケストラのための交響曲や協奏曲、室内楽、合唱曲、声楽曲など、様々な編成のために作曲を行っています。しかし、彼の作品群の中でも特に広く知られ、重要な位置を占めているのが、英国式ブラスバンドのために書かれた作品群です。これらの作品は、その技術的な難易度の高さでしばしば注目されます。高度な技巧やアンサンブル能力が求められるため、演奏団体にとっては大きな挑戦となりますが、同時に演奏の達成感も大きいと評価されています。

彼のブラスバンド作品の中で、最も代表的かつ影響力の大きい作品の一つに「トリスタン・エンカウンターズ（Tristan Encounters）」があります。この楽曲は、イギリスをはじめとする各国の主要なブラスバンド・コンテストにおいて、最高峰であるチャンピオンシップ部門の課題曲として幾度となく採用されています。これは、彼の作品が競技音楽の世界でスタンダードとしての地位を確立していることの何よりの証拠と言えるでしょう。

エレビー氏の主要な作品は以下のリストにまとめられます。

ブラスバンド作品

ブラスのための協奏曲（Concerto for Brass）
オヴェイション（Ovation）
トリスタン・エンカウンターズ（Tristan Encounters）
ヴィスタス（Vistas）
騎士道（Chivalry）
新世界の踊り（New World Dances）
エルガー・ヴァリエーション（Elgar Variations）
マルコム・アーノルド・ヴァリエーション（Malcolm Arnold Variations）
その他多数

吹奏楽作品

パリのスケッチ（Paris Sketches）
交響曲（Symphony for Winds） - 吹奏楽のための交響曲
クラリネット協奏曲（Clarinet Concerto）
ヴェネツィアの魔法（Venetian Spells）
これらのオリジナル作品に加え、自身のブラスバンド作品を吹奏楽用にアレンジした作品も多数あります。

マーティン・エレビーは、作曲家として創造的な作品を生み出す一方で、教育者として後進の指導にも情熱を注ぎ、現代音楽界、特にブラスバンドや吹奏楽の世界に多大な貢献をしています。彼の作品は、その技術的な深さと表現の幅広さから、世界中の演奏団体に愛され続けています。

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