マーティン・マリガン

マーティン・マリガン（Martin Mulligan, 1940年10月18日 - ）は、オーストラリアのマリックビル出身の男子テニス選手です。彼は、1962年のウィンブルドン選手権男子シングルスで準優勝という輝かしい成績を残し、1970年には全日本テニス選手権男子シングルスで優勝を果たしました。「マーティー・マリガン」（Marty Mulligan）という愛称でも親しまれています。

1961年の全豪選手権男子ダブルスでは、ロイ・エマーソンとのペアで準優勝を飾りました。決勝では、ロッド・レーバーとロバート・マークのペアと対戦し、3-6, 5-7, 6-3, 11-9, 2-6 のフルセットの激戦の末に敗れました。

1960年代初頭、オーストラリア・ローンテニス協会は、トップ選手たちが協会の許可なく海外のテニス・トーナメントに出場することを禁じる厳しい規定を設けました。この規定に違反した選手は、協会から追放されるという厳しいものでした。1962年、マリガンはウィンブルドン選手権にノーシードから出場し、決勝まで勝ち進むという快挙を成し遂げました。この大会の準決勝に進出したのは、マリガン、ロッド・レーバー、ニール・フレーザー、ジョン・フレーザーと、全員がオーストラリア勢でした。ウィンブルドン選手権男子シングルスのベスト4にアメリカ人選手が1人もいないのは、1922年以来40年ぶりの出来事でした。マリガンは準決勝でジョン・フレーザーを 6-3, 6-2, 6-2 で破りましたが、決勝ではロッド・レーバーに 2-6, 2-6, 1-6 で完敗しました。1962年はレーバーが年間グランドスラムを達成した年であり、マリガンは偉業達成の陰の立役者となりました。

マリガンはオーストラリア・ローンテニス協会の追放規定に異議を唱え、1964年にオーストラリアを離れてイタリアに移住しました。その後はローマに拠点を置き、ヨーロッパ各地の試合で活躍しました。1968年には、男子テニス国別対抗戦・デビスカップのイタリア代表選手として出場し、チーム内で9勝2敗という好成績を収めました。イタリア・チームはヨーロッパ・ゾーンの決勝まで進出しましたが、対スペイン戦の最終第5試合で、マリガンはマニュエル・オランテスとの試合を途中棄権してしまいました。この年からATPツアーが発足し、マリガンは2つのプロツアー大会で優勝を果たしています。

1970年、マリガンは全日本テニス選手権のために来日し、決勝で九鬼潤（法政大学）を 6-2, 6-3, 7-5 で破り、見事優勝を果たしました。日本テニス協会による全日本テニス選手権の優勝記録表において、マリガンの国籍が「イタリア」（ITA）と記載されているのは、彼がオーストラリアを離れてイタリアに帰化した事情によるものです。テニス選手としての最盛期にオーストラリアを離れたマリガンは、1975年5月に現役を引退しました。

参考文献
Martin Hedges, “The Concise Dictionary of Tennis” （コンサイス・テニス辞書） Mayflower Books Inc., New York (1978) ISBN 0-8317-1765-3

外部リンク
マーティン・マリガン - デビスカップのプロフィール （英語）　（イタリア代表選手として登録）
マーティン・マリガン - 国際テニス連盟
マーティン・マリガン - ATPツアーのプロフィール （英語）
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