マーハウス

マーハウス卿: 騎士としての二つの顔

マーハウス卿（Sir Marhaus）は、伝説的な騎士として知られ、特に「アーサー王物語」と「トリスタンとイゾルデ」に登場します。彼の名前は、地方や国によって様々に異なり、マロース、モロルド、マーホールト、モルオルトなど多くの呼び名があります。彼はアイルランドの王族の血筋を引き、物語によって描かれる役割が異なる非常に興味深いキャラクターです。

トリスタンとイゾルデにおける役割

「トリスタンとイゾルデ」では、マーハウス卿はアイルランドの騎士として登場します。彼はコーンウォールから来たトリスタンと決闘し、毒を塗った剣を使ってトリスタンを重傷に追い込みますが、最終的には敗北します。この戦いの結果、マーハウス卿は傷を負い、アイルランドへ帰国した際にその傷がもとで亡くなります。彼は決して華々しい活躍をした騎士ではなく、むしろトリスタンにとって悲劇的な要素を持つ「やられ役」とも言えます。トリスタンの血縁者であるイゾルデの影響もあって、彼との因縁はストーリーにおいて重要な障害となります。

アーサー王物語での立ち位置

一方で、『アーサー王物語』ではマーハウス卿は円卓の騎士として描かれ、ガウェイン卿との戦いを通じてその武勇を示します。特に、初めて登場したのはマロリー版において、追放中のユーウェイン卿とガウェイン卿に出くわすシーンです。この際、誤解から決闘になり、最初はユーウェイン卿を落馬させ、また三倍の力を持つガウェイン卿とも互角に渡り合います。その戦いを経て和解に至ると、彼はさまざまな冒険に参加し、一年後にはアーサー王の円卓の騎士として名を連ねます。

さらに、槍試合においてはペレアス卿に次ぐ準優勝を果たし、その後も数々の冒険で村を襲う巨人を討伐するなど目覚ましい活躍を見せます。

しかし、アーサー王物語においても、アイルランドとコーンウォール間の争いの際に再びトリスタンと決闘することになり、前回のように毒を塗った剣を使う設定となっています。この決闘でトリスタンに重傷を負わせるものの、再び敗北し、アイルランドに帰還後に死亡する運命をたどります。

結論

マーハウス卿の物語は、異なる伝説における相反する運命を持ちながら、彼のキャラクターがどのように物語の進行に影響を与えているかを示す興味深い例です。彼は「トリスタンとイゾルデ」では悲劇的な敵役として、また「アーサー王物語」では勇敢な騎士として、異なる側面を持つ重要なキャラクターとして記憶されています。

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