マーモン・ヘリントン CTL

マーモン・ヘリントン CTL (軽戦車)

マーモン・ヘリントン CTL（Marmon-Herrington Combat Tank Light）は、アメリカ合衆国のマーモン・ヘリントン社が開発した豆戦車および軽戦車シリーズです。

概要

第二次世界大戦中の1940年、オランダ領東インド陸軍(KNIL)からの発注により開発、生産されました。当時、KNILは機械化旅団を再編し、戦車大隊を編成するため大量の車両を必要としていました。しかし、ヨーロッパからの兵器供給が困難になったため、アメリカのマーモン・ヘリントン社にCTLS-4TAC、CTLS-4TAY、CTMS-1TB1、MTLS-1G14といった輸出用戦車が発注されました。

440両ほど生産されたCTLSは、1942年3月に少数がオランダ領東インドに配備されましたが、日本軍に鹵獲され、日本軍によって運用されました。輸送中にKNILが降伏したため、配備が間に合わなかった残りの生産分は、オーストラリアで訓練用戦車として使用されました。

また、中国へのレンドリース向けに生産された車両が中国の受領拒否によりアメリカ陸軍に引き取られ、アリューシャン列島やアラスカに配備されました。

アメリカ陸軍では、より強力な戦車の配備が進むにつれて、CTLSの貧弱な武装と装甲は軽視されるようになりました。しかし、オランダ陸軍からはハーキュリーズエンジン由来の高い信頼性が評価されていました。

設計

CTLSは乗員2名で、左右並列に配置されているのが特徴です。このため、「オランダの2人乗り戦車」と呼ばれることもありました。車体上面には、7.62mm機関銃M1919A4を1丁装備した1人用の小型砲塔が、左右どちらかに偏って搭載されていました。砲塔は旋回式ですが、操縦手用のフードがあるため全周旋回はできません。操縦手側の車体前面には、7.62mm機関銃M1919A4が2丁装備されていました。

CTLSには、操縦手が右側配置（砲塔は左側配置）のCTLS-4TACと、操縦手が左側配置（砲塔は右側配置）のCTLS-4TAYの2種類のバージョンがありました。アメリカ陸軍では、砲塔の位置の違いによって、それぞれT14とT16という型式名称を与えて識別していました。この違いは、ペアでの運用を前提としたものでした。

足回りの構造は、M2軽戦車のものが流用されています。

バリエーション

CTL-1：ポーランド軍向けに設計されたが、拒否された。1両のみ製造。
CTL-2：装甲がわずかに厚いCTL-1。
CTL-3：12.7mm M2重機関銃1丁と7.62mm M1919機関銃2丁を装備した豆戦車。プロトタイプのみ。1936年に5両、1939年に5両が製造され、1941年にCTL-3M基準にアップグレードされた。1943年に全車両が廃棄。
CTL-3A：CTL-3の改良版。改良点はサスペンション。
CTL-3M：CTL-3の改良版。1941年に全てのCTL-3がこの基準にアップグレードされた。
CTL-3TBD：CTL-3のアップグレードバージョン。トラック、サスペンション、M2重機関銃の追加が改良点。2挺のM2重機関銃は砲塔に搭載。5両のみ生産され、1943年にサモアで廃棄。
CTL-4
CTLS-4TAC：T14軽戦車。
CTLS-4TAY：T16軽戦車。操縦手席と砲塔がCTLS-4TACの逆に配置された。
CTL-6：CTL-3の改良版。トラックとサスペンションが改良点。20両のみ生産され、サモアの2つの戦車小隊に配備。1943年に全車両が現地で廃棄。
CTMS-1TB1：乗員3名。194両製造。
CTVL
MTLS-1G14：乗員4名。KNILの要請により開発され、1941年から1942年にかけて125両が製造された。旋回砲塔に37mm連装自動砲を装備。リベット接合装甲25～38mm、重量19トン、240馬力。1943年4月～11月まで試験されたが、実戦には投入されなかった。

登場作品

ゲーム
World of Tanks：派生型がアメリカ軽戦車MTLS-1G14として登場。

関連項目

豆戦車
軽戦車
マーモン・ヘリントン装甲車

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