マーリオ・リゴーニ・ステルン

マリオ・リゴーニ・ステルンは、1921年11月1日にイタリア北部のアジアーゴで生まれ、2008年6月16日に亡くなったイタリアの作家です。

彼の文学作品は、主に第二次世界大戦での自身の経験に基づいています。1953年に発表された処女作『雪の中の軍曹』は、彼がアルピーニ師団の軍曹として参加したロシア戦線からの撤退という、悲惨な体験を描いたものです。この作品は、翌年には彼自身によって英語版が発表され、これは彼が翻訳した唯一の作品となっています。この作品を通して、戦争の非情さ、兵士たちの苦悩や絶望といった感情が、読者に深く伝わる内容となっています。

また、リゴーニ・ステルンは、1943年のイタリア降伏後、ドイツ軍によって敵性外国人として捕らえられ、ドイツ国内外で強制労働を強いられました。この経験もまた、彼の作品に大きな影響を与えています。強制労働という過酷な状況下での人間の尊厳、生きる意味について、深く考えさせられる内容になっています。

その他の代表作としては、1979年にカンピエッロ賞とバグッダ賞を受賞した『テンレの物語』が挙げられます。この作品は、彼の故郷である山岳地帯を舞台に、自然と人間との関わりを繊細に描いており、独特の雰囲気と深い感動を与えてくれます。他にも『雷鳥の森』、『ドン河への帰還』、『野生の樹木園』など、数々の作品を発表しています。

リゴーニ・ステルンの作品は、単なる戦争体験の記録にとどまらず、人間の心の奥底にある感情や、自然との共生といった普遍的なテーマを探求しています。彼の作品は、時代を超えて読み継がれていく、深い文学的な価値を持っています。

彼の作品は以下の通りです。

1953年：Il sergente nella neve（『雪の中の軍曹』）
1962年：Il bosco degli urogalli（『雷鳥の森』）
1971年：Quota Albania
1973年：Ritorno sul Don（『ドン河への帰還』）
1978年：Storia di Tönle（『テンレの物語』）
1980年：Uomini, boschi e api
1985年：L'anno della vittoria
1986年：Amore di confine
1991年：Arboreto selvatico（『野生の樹木園』）
1995年：Le stagioni di Giacomo
1998年：Sentieri sotto la neve
1999年：Inverni lontani
2000年：Tra due guerre e altre storie
2002年：L'ultima partita a carte
* 2006年：Stagioni

彼の作品は、戦争の悲劇を体験した世代だけでなく、現代を生きる人々にとっても、大きな示唆を与えてくれるでしょう。

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