マールイ劇場 (帝室劇場、モスクワ)

マールイ劇場は、1824年にモスクワに設立された由緒ある劇場です。この劇場は、ロシアの演劇史において重要な役割を果たしており、単に「マールイ劇場」と呼ぶ場合は、通常この劇場を指します。

劇場の誕生と初期の活動

1803年、アレクサンドル1世の時代に帝室劇場は演劇部門と音楽部門に分割されることになりました。この分割は、サンクトペテルブルクでオペラ団を率いていたカテリノ・カヴォスの考えに基づいています。モスクワでは、1824年に劇場が設立され、マールイ劇場とボリショイ劇場が誕生しました。当時の帝室劇場には、マールイ劇場、ボリショイ劇場、マリインスキー劇場、アレクサンドリンスキー劇場、エルミタージュ劇場、ボリショイ・カーメンヌイ劇場がありました。

この初期の時代には、ミハイル・シェープキンをはじめとする多くの優れた俳優が活躍しました。シェープキンは、1824年のマールイ劇場のこけら落としに参加し、その後40年間も舞台に立ち続けました。そのため、マールイ劇場はしばしば「シェープキンの家」とも呼ばれていました。

古典的伝統の確立

19世紀後半になると、マールイ劇場はシュームスキー、サドーフスキー、フェドートヴァ、マリヤ・エルモーロワといった名優たちによって、古典的な伝統スタイルを確立しました。これらの俳優たちの演技は、後世の演劇界に大きな影響を与えました。彼らの努力によって、マールイ劇場はロシア演劇における重要な劇場としての地位を不動のものとしたのです。

日本との関係

マールイ劇場は、国際的な文化交流にも積極的に取り組んでいます。その一環として、2012年9月14日には、愛媛県東温市の坊ちゃん劇場が制作したミュージカル『誓いのコイン～ロシア兵をもてなした松山～』が当劇場で上演されました。これは、日本のミュージカルがロシア政府に招聘された初の事例であり、両国間の文化交流において大きな意義を持つ出来事でした。この公演は、マールイ劇場の歴史に新たな1ページを刻むとともに、日本とロシアの文化的なつながりを深めるきっかけとなりました。

まとめ

マールイ劇場は、その設立以来、ロシア演劇の発展に大きく貢献してきました。数々の名優を輩出し、古典的な伝統を築き上げるとともに、国際的な文化交流にも積極的に参加しています。現在でも、その影響力は大きく、ロシア演劇界において重要な劇場として存在感を放っています。この劇場は、その長い歴史の中で、演劇の力を通じて多くの人々に感動と喜びを与え続けています。

参考文献

* 『ロシアの演劇ー起源、歴史、ソ連崩壊後の展開、２１世紀の新しい演劇の探求』　２０１３年　マイヤ・コバヒゼ著　　生活ジャーナル

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