ミイラの呪い

『ミイラの呪い』：ミイラ男カリスの最期の物語

1944年公開の『ミイラの呪い』は、ユニバーサル映画が贈るミイラ男カリスシリーズの最終章を飾るホラー映画です。シリーズ4作目にして、ユニバーサル作品としては通算5作目のミイラ映画という位置づけになります。前作『ミイラの復活』から四半世紀の時が流れ、物語は新たな舞台で幕を開けます。

蘇るミイラと、絡み合う運命

舞台となるのは、前作でカリスとアナンカ王女が沈んだ沼の干拓工事現場。その地底から、再びカリスとアナンカ王女が姿を現します。スクリップス博物館から派遣された考古学者ハルゼーと、正体不明のザンダブがミイラの回収にやってきますが、ザンダブは実はエジプトから来た第3の神官であり、部下のラゲブと共にカリスの復活を企てます。

工事現場では、アナンカ王女のミイラが若い女性の姿で発見されます。作業員ジョーによって保護されたアナンカですが、蘇ったカリスは彼女を取り戻そうと執拗に追いかけます。絶体絶命のピンチに陥ったアナンカは、工事現場監督の姪で秘書を務めるベティに助けを求めます。しかし、カリスの魔の手は容赦なく伸びていきます。アナンカはカリスに連れ去られ、ベティもラゲブの策略によって古びた修道院へと拉致されます。

修道院での死闘と、シリーズの終焉

修道院で、ザンダブは口封じのためにベティを殺そうとしますが、ラゲブがベティに邪な感情を抱いていたことから事態は思わぬ方向へ。ラゲブはザンダブを殺害し、さらにカリスの怒りを買い、激しい争いが修道院で勃発します。最終的に修道院は崩壊し、ラゲブは瓦礫の下敷きとなります。アナンカは元のミイラの姿に戻り、ハルゼーは彼女を博物館へと持ち帰ることになります。

キャストと制作

カリス役は、前作に引き続きロン・チェイニー・ジュニアが務め、シリーズを通して貫かれた彼の怪演は本作でも大きな魅力となっています。その他、主要キャストにはデニス・ムーア、ケイ・ハーディング、ヴァージニア・クリスティーンなどが出演しています。

舞台となった沼は、前作ではマサチューセッツ州が舞台でしたが、本作ではルイジアナ州を思わせるケイジャンやバイユーといった言葉が登場します。また、シリーズ1作目から55年以上後の時代が描かれており、時代設定の差異も興味深い点です。当初は『ミイラの再来』というワーキングタイトルが検討されていました。さらに、『ミイラ再生』(1932年)と『ミイラの復活』(1940年)の映像が再利用されている点も特筆できます。

ミイラ映画史における位置づけ

『ミイラの呪い』は、ホラー映画史、そしてミイラ映画史において重要な位置を占める作品です。ロン・チェイニー・ジュニアの怪演、スリリングな展開、そしてシリーズの完結編としての重みは、多くの観客を魅了し続けています。この作品は、単なるホラー映画としてだけでなく、時代背景や制作手法といった点からも、映画史研究において重要な資料となっています。数々の文献にも引用されており、その影響力の大きさがうかがえます。様々な角度から考察することで、この作品の魅力をより深く理解できるでしょう。

もう一度検索