ミイラの復活

『ミイラの復活』：砂漠に眠る呪われた王子と考古学者の冒険

1940年、アメリカ合衆国で公開されたホラー映画『ミイラの復活』(The Mummy's Hand)は、ミイラシリーズの第2作目として知られています。しかし、1932年公開の前作『ミイラ再生』とはストーリーもキャラクターも独立しており、ファラオを除いて繋がりはありません。本作から登場するミイラ男カリスは、後のシリーズ作品『ミイラの墓場』(1942年)、『執念のミイラ』『ミイラの呪い』(共に1944年)にも登場し、物語を繋ぐ重要な存在となります。ただし、カリス役は本作ではトム・タイラーが、残りの3作品ではロン・チェイニー・ジュニアが演じています。

物語は、博物館を解雇されたアメリカ人考古学者スティーブ・バニングとその友人ベーブが舞台となります。二人はエジプトの市場で、欠けた花瓶を発見します。この花瓶には、未発見とされるアナンカ王女の墓を示す地図が刻まれており、発見できれば考古学の大発見となる可能性を秘めていました。

二人は知り合いのペトリー博士を通じて、カイロ博物館長のアンドヘブ教授に花瓶を見せます。しかし、教授は花瓶を偽物だと断じ、相手にしません。その真意は、アンドヘブ教授がアナンカ王女の墓を守るカルナック神殿の大神官の息子であり、墓の秘匿が彼の使命であったためです。

それでも諦めなかったバニングは、スポンサーを探し、興行中の奇術師グレート・ソルバニとその娘マルタの協力を得ます。アンドヘブ教授の妨害を乗り越え、バニング、ベーブ、ペトリー博士、ソルバニ、マルタ一行は、地図を頼りにアナンカ王女の墓らしき場所を発見します。

一行は墓の封印を解き、内部へと入っていきます。しかし、棺の中に眠っていたのは、アナンカ王女ではなく、男のミイラでした。そのミイラこそが、カリスです。カリスは三千年前、アナンカ王女を生き返らせようとした罪で、舌を切られ、生きたままミイラにされた王子でした。

アンドヘブ教授は、禁断のタナ茶を用いてカリスを復活させてしまいます。復活したカリスは、ペトリー博士や人夫頭のアリを殺害し、さらにソルバニを襲ってマルタを連れ去ります。

バニングとベーブはカリスを追跡し、墓の奥深くでついにアナンカ王女の墓を発見します。そして、アンドヘブ教授とカリスとの激しい死闘の末、カリスを倒し、アナンカ王女の墓に隠された財宝を手に入れることに成功するのです。

本作は、考古学的な冒険とミイラによる恐怖を巧みに織り交ぜた、手に汗握るエンターテインメント作品です。ミイラ男カリスの登場によって、シリーズに新たな息吹が吹き込まれ、後の作品へと続く、重要な作品として評価されています。考古学、ミイラ、そして冒険譚に興味のある方には、特におすすめしたい作品です。

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