ミグマタイトとは？意味をやさしく解説

ミグマタイトとは

ミグマタイト（混成岩、migmatite）は、変成岩と火成岩が複合的に存在する岩石の呼称です。この岩石は、一般に暗色部が苦鉄質（mafic）な成分を持ち、明色部は珪長質（felsic）な成分にあたります。変成岩に融解部が含まれることは通常ないため、ミグマタイトは片麻岩（変成岩）と花崗岩（火成岩）の特性を併せ持つ中間的な位置づけとされています。この名称はギリシャ語の「migma（混合物）」に由来し、1907年にヤコブ・ゼーデルホルム（J. J. Sederholm）によって名付けられました。

ミグマタイトの成因

ミグマタイトの形成過程には、変成作用による岩石の部分融解、マグマの変成岩への侵入や浸透、さらには交代作用や変成分化作用など、複数の要因が関与しています。各産出地域における詳細な岩石学的解析が求められ、成因の理解を深めることが重要です。

ミグマタイトの分類

ミグマタイトの構成要素である花崗岩質部分と変成岩質部分は、それぞれ識別され、特定の名称が付与されています。比如、花崗岩質の部分で無色鉱物が集中的に存在する部分をリューコゾーム（優白部、leucosome）と称します。一方、変成岩質部分はパレオゾーム（paleosome）やメソゾーム（mesosome）と呼ばれ、この区分では有色鉱物が集まる部分が存在し、特にメラノゾーム（優黒部、melanosome）として区分されることもあります。リューコゾームおよびメラノゾームは、新たに形成された部分であると解釈されており、これらをまとめてネオゾーム（neosome）と呼ぶこともあります。

花崗岩質部分と変成岩質部分は、時に褶曲を伴いながら互層状に配置されることもあれば、リューコゾームがブーダンネックと呼ばれる所在に集中することもあります。これにより、「ストロマティックミグマタイト（層状ミグマタイト）」や「ネビュライト（境界不明瞭な状態のもの）」など、さまざまな名称で区別されます。

また、成因に基づいて分類される名称も存在します。例えば、部分融解（アナテクシス、anatexis）が進行し、元の層状構造が損なわれたものはダイアテクサイト（diatexite）と呼ばれ、構造が保存された場合はメタテクサイト（metatexite）と定義されます。

ミグマタイトの産地

ミグマタイトは、大陸地殻の重要な構成要素であり、高温型変成帯の角閃岩相高温部からグラニュライト相の変成岩域に広く分布しています。日本では、ミグマタイトは中央構造線の北側にある領家変成帯や、北海道日高山脈の日高変成帯に見られます。

参考文献

ミグマタイトに関する用語や研究が記載された文献は、さらなる理解や学びの手助けとなります。その中には、Brownによる変成岩分類の定義や、Johannesによる層状ミグマタイトの起源に関する研究などが含まれています。また、Mehnertはミグマタイトの生成と花崗岩の起源に言及し、Sederholmは花崗岩と片麻岩に関する詳細な研究成果を発表しています。

ミグマタイト