領家変成帯

領家変成帯（りょうけへんせいたい）

領家変成帯は、日本列島を東西に分断する大断層である中央構造線の内帯（北側）に沿って存在する変成岩帯です。この変成帯は、高温低圧型の変成作用を受けて形成された変成岩が広範囲に分布していることが特徴です。中央構造線を挟んで南側には、低温高圧型の変成作用を受けた三波川変成帯が位置しており、両者は対照的な変成環境で形成された変成帯として知られています。

名称の由来

領家変成帯の名称は、静岡県を流れる天竜川の支流である水窪川沿いの地名、奥領家（浜松市天竜区水窪町奥領家）に由来しています。この地域は、領家変成帯を構成する岩石がよく観察できる場所として知られています。また、領家帯とも呼ばれることがあります。

分布

領家変成帯は、長野県南部から九州地方にかけて、中央構造線に沿って細長く分布しています。この広範囲にわたる分布は、日本列島の地質構造を理解する上で重要な手がかりとなっています。

成り立ち

領家変成帯の岩石は、中生代ジュラ紀に大陸縁の海溝で付加された付加体が起源です。その後、白亜紀に発生した古期領家花崗岩マグマの大規模な上昇による熱によって、付加体は広範囲にわたって片麻岩へと変成しました。この変成作用は、領家変成帯の高温低圧という特徴的な変成環境を作り出したと考えられています。

領家変成帯と三波川変成帯は、もともと同じジュラ紀の付加体でしたが、白亜紀にそれぞれ異なる変成作用を受けました。三波川変成帯は、海洋プレートが沈み込む際に発生する低温高圧の環境下で変成した一方、領家変成帯はマグマの上昇に伴って発生した高温低圧の環境下で変成しました。このように、異なる変成作用を受けた二つの変成帯は、中央構造線の大規模な断層活動によって、水平距離で約60km、上下距離で約20kmも離れていたものが、現在のように隣接するようになりました。

参考文献

産業技術総合研究所地質調査総合センター. “地層名検索データベース”. 2011年12月5日閲覧。

関連項目

変成作用
変成岩
中央構造線
月出の中央構造線

外部リンク

産業技術総合研究所[地質]]調査総合センター. “地層名検索データベース”. [http://www.gsj.jp/geology/

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