ミスタア・ロバーツ

『ミスタア・ロバーツ』（Mister Roberts）は、1955年に公開されたアメリカ映画であり、ワーナー・ブラザースが配給を手掛けたコメディ作品です。この映画は、ジャック・レモンがアカデミー助演男優賞を受賞したことで広く知られています。

原作はトーマス・ヘッゲンによる同名の小説であり、その小説を基に1948年にブロードウェイで舞台化された作品が、映画の直接的な元となっています。映画化にあたっては、ヘンリー・フォンダが主演を務めましたが、撮影開始当初から演出を担当したジョン・フォード監督の演出方法に不満を抱いていました。ついには、フォンダがフォードの演出を批判するに至り、激怒したフォードがフォンダを殴るという事件も起きたと伝えられています。

物語の舞台は、太平洋戦争中のアメリカ海軍のオンボロ輸送艦「バケツ号」です。艦長のパルバー（ジェームズ・キャグニー）は専制的で、乗組員たちは戦線に参加できない鬱屈とした日々を、艦長のしごきに耐えながら過ごしていました。副長であるロバーツ（ヘンリー・フォンダ）は、乗組員たちの不満を理解しつつも、艦長との板挟みに苦悩します。

ある時、艦は寄港地でWAVE（女性海軍兵士）たちの着替えを覗き見できる場所に停泊します。パルバー（ジャック・レモン）は、WAVEたちが艦を見学する際に、彼女たちに消毒用アルコールをウィスキーと偽って飲ませようと企みます。しかし、パルバーの不手際から覗き見がWAVEたちに露見し、計画は失敗に終わります。

次の寄港地へ向かう途中、ロバーツは艦長と衝突し、転属願いを出すことを決意します。しかし、彼は「転属願いを出さず、今後一切艦長に逆らわない」という条件と引き換えに、乗組員たちの一時上陸許可を艦長に要求します。艦長はこれを受け入れ、上陸を許可しますが、浮かれた乗組員たちは乱痴気騒ぎを起こし、結局上陸許可は一晩で取り消されてしまいます。

その後、ロバーツは艦長の手先のような存在になり、乗組員たちは彼に反感を抱きます。艦に居場所を失ったロバーツは、腹いせに艦長が大切にしていたヤシの鉢植えを海に捨ててしまいます。艦長は深夜に非常呼集をかけますが、その騒動を通じて乗組員たちは、上陸許可を取り付けたのがロバーツであったことを知ります。そして、艦長はロバーツの転属を許可します。

しばらくして、パルバーをはじめとする乗組員宛に、ロバーツから明るい手紙が届きます。しかし、手紙には一枚の紙片が添えられており、そこにはロバーツが日本軍の神風攻撃によって戦死したという悲しい知らせが記されていました。

映画は、戦争という状況下における人間関係や、ユーモア、そして悲劇を描き出しています。ジャック・レモンの演技は高く評価され、アカデミー助演男優賞を受賞しました。

主な受賞歴

アカデミー賞
受賞
アカデミー助演男優賞：ジャック・レモン
ノミネート
アカデミー作品賞：リーランド・ヘイワード
アカデミー録音賞：ウィリアム・A・ミューラー

外部リンク

ミスタア・ロバーツ - allcinema
ミスタア・ロバーツ - KINENOTE
Mister Roberts - オールムービー（英語）
Mister Roberts - IMDb（英語）

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