ミスター・T

ミスターT、本名ローレンス・テュローは、1952年イリノイ州シカゴに生まれました。12人兄弟の11番目として、母子家庭で育ちました。

彼は幼少期から並外れた才能を発揮します。ダンバー実業高校時代にはレスリングで90勝1敗という圧倒的な成績を収め、市のチャンピオンに輝きました。この活躍により、奨学金を得てテキサスA&M大学へ進学しますが、1年で退学。その後、アメリカ陸軍に志願し、憲兵として従軍経験も積みます。

除隊後はアメリカンフットボールリーグ、NFLのグリーンベイ・パッカーズを目指しますが、膝の負傷により断念。新たな道を模索した彼は、ニューヨークでボディーガードの仕事に就き、後に世界的なボクシングチャンピオンとなるレオン・スピンクスのボディーガードを務めた経験も持ちます。

転機は、モハメド・アリの紹介がきっかけで、映画『ロッキー3』にクラバー・ラング役で出演したことでした。この映画出演を機に、俳優としての道を歩み始めることになります。

しかし、彼の名を世界中に知らしめたのは、なんといっても1980年代に放映された人気テレビシリーズ『特攻野郎Aチーム』での“コング”ボスコ・アルバート・バラカス軍曹役でしょう。個性的な風貌と、強い正義感を持ったキャラクターは、視聴者に強烈な印象を与え、シリーズを代表する人気キャラクターとなりました。

俳優活動と並行して、1985年にはプロレス団体WWF（現WWE）のレッスルマニアにも出場。ハルク・ホーガンとタッグを組んでリングに上がり、その活躍は多くのプロレスファンにも記憶されています。ちなみに、ホーガンとは『特攻野郎Aチーム』でも共演していますが、『ロッキー3』では共演シーンはありませんでした。

私生活では、1995年にT細胞リンパ腫というがんと診断されますが、持ち前の強靭な精神力で病を克服しました。

ミスターTといえば、金色のチェーンやバングルなど、多くの貴金属を身につけた派手なファッションも有名です。しかし、2005年のハリケーン・カトリーナ被災後は、この派手なファッションを控えるようになりました。

近年は、アメリカのショッピング番組を中心に活躍しています。そして2014年には、WWE殿堂入りを果たすという栄誉にも輝きました。

レスリングチャンピオン、軍人、ボディーガード、俳優、プロレスラーと、数々の顔を持ち、常に挑戦を続け、幾多の困難を乗り越えてきたミスターT。彼の波乱万丈な人生は、多くの人々に勇気と感動を与え続けています。彼の輝かしいキャリアと、不屈の精神は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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