ミステリが読みたい!

ミステリが読みたい！：ミステリファンのための年間ランキング

2007年に早川書房が創設した「ミステリが読みたい！」は、国内で高い人気を誇る推理小説の年間ランキングです。毎年11月に発表され、多くのミステリファンから注目を集めています。

選出方法の変遷

ランキングの選出方法は、初期とその後で大きく異なっています。

2008年と2009年は、作家、評論家、書店員といったミステリに精通した識者と、一般読者の投票によって決定されました。識者と一般読者はそれぞれ3作品をベスト3として選出し、1作品につき3点を与える方式でした。この方式は、それまでの専門家のみによる選考とは異なり、より多くの読者の意見を反映させた「開かれた」ランキングを目指した画期的な試みでした。

2010年から2012年にかけては、選考方法が変更されました。ミステリに造詣の深い識者たちが、作品ごとに「ストーリー」「サプライズ」「キャラクター」「ナラティブ」という4つの基準で採点する方式となりました。各基準は5点満点で、総合点の上位100作品が紹介されます。上位10位までは、獲得点数と支持者の人数が公開され、11位以降は50音順で掲載されました。さらに、4つの基準ごと、ジャンルごとのベスト5も発表されるなど、より詳細な評価が提供されるようになりました。

2013年以降は、『ハヤカワミステリマガジン』誌上で発表されるようになり、選考方法はより専門家による評価にシフトしたと考えられます。

対象作品

毎年11月に発表されるため、対象となる書籍は前年10月1日から当該年の9月30日までに刊行された作品です。文庫化作品や復刊作品も対象となる点が特徴的です。また、他のミステリランキングと比較して、対象となる書籍の期間が1ヶ月ずれているなど、差別化を図る工夫が見られます。たとえば、『本格ミステリ・ベスト10』『このミステリーがすごい！』『週刊文春ミステリーベスト10』といった他の主要なミステリランキングと比較すると、対象期間に違いがあり、独自の選考基準が反映されていると言えるでしょう。

「ミステリが読みたい！」の意義

「ミステリが読みたい！」は、単なるランキングにとどまらず、その年の優れたミステリ作品を発掘し、紹介する重要な役割を果たしています。専門家と一般読者の意見を組み合わせることで、多角的な視点から作品を評価し、幅広い読者層にアピールするランキングです。また、毎年発表されることで、ミステリ界の動向を示す指標ともなっています。

類似ランキング

「ミステリが読みたい！」以外にも、多くのミステリランキングが存在します。代表的なものとしては、『本格ミステリ・ベスト10』『このミステリーがすごい！』『週刊文春ミステリーベスト10』などがあります。それぞれのランキングが独自の選考基準や対象期間を持つことで、ミステリ作品を多角的に評価する土壌が作られています。これらのランキングと比較することで、「ミステリが読みたい！」の独自性や特徴をより深く理解することができるでしょう。

まとめ

「ミステリが読みたい！」は、選考方法や対象期間に工夫を凝らし、ミステリファンに多くの情報を提供する、重要な年間ランキングです。今後の発表も、多くのミステリ愛読者から期待されています。

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