ミス・レイン

『ミス・レイン』：武内直子の初期作品集

『ミス・レイン』は、人気漫画家・武内直子氏が手がけた漫画短編集です。1993年に講談社コミックスなかよしより刊行され、表題作である「ミス・レイン」を含む全5編の読み切り作品が収録されています。なかでも「ミス・レイン」は、後に武内氏によって発表される『美少女戦士セーラームーン』シリーズのヒロイン、水野亜美のデザインやキャラクター設定に多大な影響を与えた作品として知られています。水野亜美を彷彿とさせるヒロインの登場や、物語の雰囲気は、後のセーラームーンシリーズの世界観に通じるものを感じさせます。

本書に収録されている作品は、『なかよし』や『なかよしデラックス』といった少女漫画雑誌に、1987年から1990年にかけて発表された初期作品です。これらの作品は、『ミス・レイン』というタイトルで一冊にまとめられる以前から、読者から高い人気を博していました。

収録作品は次の通りです。

ミス・レイン: 本短編集の表題作であり、1990年7月号の『なかよし』に掲載されました。
ぼくのピアス・ガール: 1989年5号の『なかよしデラックス』に掲載されました。
7月（ジュライ）マーマレード・バースデー: 1989年7月号の『なかよし』に掲載されました。
まいごのスウィング: 1988年2号の『なかよしデラックス』に掲載されました。
* いつもいっしょね♥: 1987年4月号の『なかよし』に掲載されました。

これらの作品はそれぞれ異なるテーマや魅力を持ちながらも、武内氏独特の繊細なタッチと、少女たちの心情を丁寧に描く作風は共通しています。初期作品であるため、後の代表作である『美少女戦士セーラームーン』とは異なる、より繊細で静謐な作品群と言えるでしょう。

また、興味深い点として、これらの作品には既に『美少女戦士セーラームーン』シリーズで多用される、化学物質をモチーフにした命名が見られます。例えば、登場する犬の名前が「アニリン」と「アセトアニリド」と名付けられている点などは、後の作品につながる伏線として注目に値します。これは、武内氏の作品世界観を理解する上で重要な要素と言えます。

『ミス・レイン』は、『美少女戦士セーラームーン』を知る上でも、武内直子氏の作品を深く理解する上でも、非常に重要な作品集です。これらの初期作品を通して、彼女の才能と、後の代表作へと繋がる世界観の一端に触れることができるでしょう。 本書は、武内直子氏ファンのみならず、少女漫画ファンにとっても、必読の一冊と言えるでしょう。

もう一度検索