ミズシタダミ

ミズシタダミ属（Valvata）の概要

ミズシタダミ（Valvata）は、ミズシタダミ科（Valvatidae）に分類される淡水性の小型巻貝です。これらの貝は寒冷な湖の底に生息し、カワシンジュガイとともに氷期遺存種とされることから、古代から生き続けている貴重な生物群の一部です。日本にはいくつかの種が分布しており、特にこの島国の淡水生態系の一部として重要な役割を果たしています。

形態的特徴

ミズシタダミの貝殻は、一般的にカタツムリのような形状を持ち、やや平らに巻かれているか、または完全に平巻きです。その直径は数ミリメートルと非常に小さく、成長過程においては特徴的な成長脈が表面に見られます。

この貝の特異点の一つは、嘴（くちばし）の上に並ぶ触角と眼であり、これが可愛らしい印象を与えます。また、貝の足は左右に広がっており、鰓と蓋を備えています。繁殖時には、卵嚢に複数の卵が含まれており、その卵嚢は薄い貝殻から透けて見えるため、その様子は観察者にとって興味深いものとなります。

日本における種の分布

ミズシタダミ属は、多くの絶滅済みや生存している種が主に北半球で観察されています。以下は、日本で確認された主要な種です。

1. Valvata biwarnsis (Preston, 1916)
琵琶湖の固有種で、深部に生息しています。

2. Valvata hokkaidoensis (Miyadi, 1935)
螺塔が平らか、または全く見えない形状で、塘路湖や阿寒湖に分布しています。

3. Valvata japonica (E. von Martens, 1877)
日本のニホンミズシタダミで、螺旋が太く、明確に見える螺塔を持っています。主に芦ノ湖、河口湖、小川原湖、相模川浄水場で確認されていますが、野尻湖では絶滅の恐れがあります。

4. Valvata kizakikoensis (Fujita & Habe, 1991)
木崎湖に分布しているキザキコミズシタダミです。

5. Valvata saghalinensis (Miyadi, 1835)
サハリン州で見られ、螺塔がわずかに出ています。

6. Valvata simusyuensis (Miyadi, 1835)
シムシュ島に生息し、成長脈が顕著で、螺旋が太いのが特徴です。

まとめ

ミズシタダミ属は、淡水貝類の中でも特異な存在であり、各種はそれぞれ独自の生息環境や形態的特徴を持っています。これらの貝は、主に日本の寒冷湖沼に頼る形で生息し、周囲の生態系の健康を示す指標ともなっているのです。今後、これらの種を保護し、その生態についてさらなる研究を進めることが重要です。

もう一度検索