ミズワラビ

ミズワラビの詳細

概要

ミズワラビ（水蕨、学名：Ceratopteris thalictroides）は、シダ植物門ホウライシダ科に属するシダの一種です。特に水中環境や湿地に自生するため、他のシダとは一線を画す存在として知られています。日本では、本州中部から南の地域で見られますが、現在は南西諸島に限定されることが多いです。かつて本種は日本本土でも見られましたが、今では同属の別種（ヒメミズワラビ）がその地に分布しているとされています。

特徴

ミズワラビは一年生の草本でありながら温暖な地域では越冬も可能です。この植物は斜めに立つ根茎を持ち、鱗片で覆われています。特筆すべきは二種類の葉を持ち、それぞれの役割に応じて異なった形状をしています。栄養葉は直立し、高さが11〜20cm程度で、淡緑色を帯びた葉身が特徴で、最大17cmの長さと7.4cmの幅を持ちます。葉柄は長めで、葉身よりも目立つことが特徴です。

一方、胞子葉は更に大きく、20〜32cmの長さになることもあり、全体的に三角形や三角状卵形をしています。こちらの葉も羽状に切れ込んでおり、非常に細い小羽片を持つことが特徴です。胞子葉の裏面には胞子嚢群があり、それが葉の縁に覆われる形状をしています。

分類と配分

ミズワラビ属は複雑な分類体系を持ち、従来は11種ほどが記載されていましたが、特に高度に多型的であるため、種の境界が定かではありません。1974年に発表されたLloydのモノグラフでは、これらの種を4つにまとめ、本種ミズワラビもその一つとして認識されています。近年の研究ではミズワラビとヒメミズワラビが区別され、後者は若干小型で変異の範囲も広く、大きさによる識別が難しいとされています。

このような分類の中で、日本に自生しているのは主にミズワラビとヒメミズワラビの2種に限られ、両種とも共通の片親を持つと考えられています。海外では南アジアや東南アジア、オーストラリア、ハワイなどにも広く分布しています。

利用

ミズワラビは成長の良い地域では、葉を食材として利用することがあると言われていますが、除草剤の影響などによって、今やその姿を見かけることが少なくなっています。食用としての需要は減少しましたが、熱帯魚の水槽には非常によく利用され、ウォータースプライトとして流通しています。特に水面に浮かせて小魚の産卵場所として使われることもあります。

最後に

ミズワラビは生態系において特異な役割を果たす植物であり、多様な環境に適応しつつ、その存在感を示しています。これからもこの植物の生態や利用方法についての研究が進むことを期待します。

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