ミセス・ロビンソン

サイモン&ガーファンクル「ミセス・ロビンソン」：時代を超えて愛される名曲

「ミセス・ロビンソン」（Mrs. Robinson）は、ポール・サイモンが作詞・作曲し、サイモン&ガーファンクルが歌った楽曲です。1967年公開のアメリカ映画『卒業』のサウンドトラックに使用され、翌1968年にフル・コーラス・バージョンが発表されました。この曲は、彼らのアルバム『ブックエンド』に収録されるとともに、シングルとしてもリリースされ、世界的な大ヒットとなりました。

歌詞の背景とジョー・ディマジオのエピソード

タイトルは映画『卒業』の登場人物に由来しています。歌詞には、野球選手ジョー・ディマジオに対して「どこへ行ってしまったの?」と問いかけるフレーズが含まれています。この歌詞に関して、ディマジオが不快に思っているという噂が流れましたが、実際にはサイモンとディマジオが直接会話し、誤解が解けたというエピソードがあります。サイモンは、ディマジオをアメリカの英雄として尊敬しており、歌詞は英雄の不在を嘆く意味を込めて書いたと説明しました。

アート・ガーファンクルは、ソロ公演でこの曲を歌う際、ディマジオの名前を別の選手に変えることがあり、日本公演では王貞治の名前で歌ったこともあります。1999年にディマジオが亡くなった際には、サイモンがヤンキー・スタジアムでの追悼試合で、この曲をギター一本で献歌しました。

シングルとしての成功とグラミー賞受賞

「ミセス・ロビンソン」は、アメリカのBillboard Hot 100でサイモン&ガーファンクルにとって2作目の1位獲得曲となりました。また、グラミー賞では最優秀レコード賞とポップ・ロック・コンテンポラリー賞の2部門を受賞しました。映画『卒業』の大成功にもかかわらず、アカデミー賞にはノミネートされませんでしたが、これはサイモン自身がノミネートに必要な書類を提出しなかったためと言われています。イギリスでは、全英シングルチャートで最高4位を記録し、EP盤もリリースされました。

サウンドトラックでの使用例

「ミセス・ロビンソン」は、『卒業』以外にも多くの映画で使用されています。

ウェインズ・ワールド2（1993年）
フォレスト・ガンプ/一期一会（1994年）
アメリカン・パイ（1999年）
迷い婚 -全ての迷える女性たちへ-（2005年）
ウルフ・オブ・ウォールストリート（2013年）
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド（2019年）

レモンヘッズによるカバー

レモンヘッズは1992年に「ミセス・ロビンソン」をカバーし、アメリカのモダン・ロック・チャートで8位を記録しました。このバージョンは、映画『ウェインズ・ワールド2』をはじめ、様々な映画で使用されています。アウディ・A6のCMでも、映画『卒業』のパロディとして使用されました。

その他のカバー

「ミセス・ロビンソン」は、数多くのアーティストによってカバーされています。

ザ・レンジャーズ（日本語カバー）
フランク・シナトラ
ブッカー・T&ザ・MG's
ポール・デスモンド
キース・ポトガー&ザ・ニュー・シーカーズ
BEGIN（日本語カバー）
ボン・ジョヴィ
THE ALFEE|THE_ALFEE
JAYWALK
ジェイク・シマブクロ
バステッド
安倍なつみ・中澤裕子

「ミセス・ロビンソン」は、映画『卒業』の成功とともに、時代を超えて愛される名曲として、多くの人々に記憶されています。歌詞に込められたメッセージや、様々なアーティストによるカバーを通じて、その魅力は今もなお色褪せることはありません。

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