ミソハギ

ミソハギ（禊萩）とは

ミソハギ（学名：Lythrum anceps）は、ミソハギ科の多年草です。湿地や田の畔など、湿った場所に自生し、日本や朝鮮半島に分布しています。茎の断面は四角形をしており、葉は細長く対生で、互い違いに直角の方向に出るのが特徴です。また、実生の若い葉は赤く紅葉します。お盆の頃になると、先端部の葉腋に紫紅色の小さな花を多数咲かせます。

名称と利用

ミソハギは、別名「鼠尾草（そびそう）」とも呼ばれますが、これはアキノタムラソウの誤用漢名でもあるため、注意が必要です。一般的には、お盆の時期に飾る盆花としてよく知られており、「ボンバナ」や「精霊花（ショウリョウバナ）」などの名前でも呼ばれています。

和名の由来は、ハギに似ていること、禊に使われたこと、溝に生えることなど、諸説あります。祭事などに用いられることが多いため、地域によって様々な呼び名があります。俳句の世界では、「千屈菜（みそはぎ）」が秋の季語として使われています。また、民間薬としては、「千屈菜（せんくつさい）」として下痢止めに利用されてきました。

ただし、本来「千屈菜」（qianqucai）という漢名は、エゾミソハギ（L. salicaria）を指します。エゾミソハギも同じく下痢止めとして用いられてきましたが、現在ではミソハギとは別種として扱われています。

近縁種

近縁種には、エゾミソハギ（L. salicaria）があります。エゾミソハギはミソハギよりも大型で、葉の基部が茎を抱き、全体的に毛が多いのが特徴です。日本国内では九州以北に分布し、ユーラシア大陸や北アフリカにも広く分布しています。欧米では観賞用として栽培されており、盆花としても利用されます。しかし、世界の侵略的外来種ワースト100（IUCN, 2000）にも選定されており、生態系への影響が懸念されています。

まとめ

ミソハギは、古くから日本人の生活に深く関わってきた植物です。お盆の時期に美しい花を咲かせることから、盆花としてのイメージが強いですが、その一方で、民間薬としても利用されてきました。近縁種のエゾミソハギとは異なり、侵略的な性質は持っていませんが、湿地などの環境変化によって、その生育状況は影響を受ける可能性があります。この美しい日本の植物を、これからも大切に守り育てていくことが大切です。


参考文献
ミソハギとは｜育て方がわかる植物図鑑 - みんなの趣味の園芸（NHK出版）
* ミソハギ :: おすすめコンテンツ ≫ 植物図鑑 - 筑波実験植物園

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