ミダゾラム

ミダゾラムについて

ミダゾラム（Midazolam）は、ベンゾジアゼピン系に属する麻酔導入薬及び鎮静薬として知られています。日本ではドルミカムやミダフレッサ静注0.1%などの名称で供給されています。この薬剤は、静脈内に注射することで一般的に10秒から2分以内に効果が発現し、持続時間は1〜6時間程度です。最大の効果は投与後約10分で現れることが多く、前向性健忘を招くことがあるため、使用には慎重さが求められます。

国際機関である世界保健機関（WHO）の必須医薬品リストにも名を連ねるミダゾラムですが、その使用に当たっては、依存のリスクや急激な用量の減少による離脱症状などについても注意が必要です。特に、ベンゾジアゼピンの中でスケジュールIVに指定されていることからも、管理が必要とされています。日本においては、いくつかの禁忌が設定されており、急性狭隅角緑内障や重症筋無力症の患者、特定の薬剤を投与中の方には使用を避けるべきとされています。

使用上の注意点

特に高齢者や小児、妊婦、アルコールもしくは薬物依存歴のある患者、さらには合併症や精神障害を有する方に対しては、ミダゾラムの投与に際し、十分な注意が求められます。重篤な症状を呈している患者においては、この薬剤とその代謝物が体内に蓄積するリスクがあるため、投与量の調整や経過観察が必要です。

副作用

添付文書には、依存症、無呼吸、呼吸抑制といった重大な副作用が示されており、また、心臓の異常やアナフィラキシーショックも報告されています。特に、活動性の亢進など非定型的な反応が小児や高齢者に見られることがあり、注意が必要です。また、妊婦への投与はリスクがあることが確認されていますが、授乳中の母親から子に対する影響については未だ明確ではありません。

依存性の問題

2017年3月には、連用による依存症のリスクが特記され、使用期間や用量に細心の注意が払われるべきであるとの指摘が厚生労働省から発表されました。また、奇異反応として錯乱や興奮が見られることもあり、漫然とした長期使用は避けるべきとされています。

作用機序

ミダゾラムは、その効果の源として中枢神経系にあるベンゾジアゼピン受容体に結合します。これによりGABA受容体との相互作用が強化され、神経細胞の興奮性が抑制されることで、鎮静または抗痙攣の効果が生じます。注射の際には、男性の方が女性よりも血中濃度が高くなる傾向がある一方で、静脈注射においては効果の性差はないとされています。

適応症

日本におけるミダゾラムの代表的な用途としては、麻酔前投薬や全身麻酔の維持、集中治療における鎮静、そして歯科領域での処置時の鎮静が挙げられます。この他にも、てんかん重積状態における使用や、内視鏡施行時の鎮静にも用いられることがありますが、日本では保険適用外のため、注意が必要です。

まとめ

ミダゾラムはその使い道が広範で便利な薬剤ですが、特性や副作用、依存性のリスクをしっかり理解した上で使用されるべきです。また、新たな適応拡大やガイドラインの変更など、今後の動向にも把握が必要です。

もう一度検索