ミッシング (1982年の映画)

映画『ミッシング』の概要

『ミッシング』（原題：Missing）は、1982年に公開されたアメリカの社会派映画です。この作品は、1973年に南米のチリで発生した軍事クーデターの裏で起きたアメリカ人男性チャールズ・ホーマンの失踪事件をテーマにしています。原作はトマス・ハウザーによる著書『The Execution of Charles Horman: An American Sacrifice』（1978年）で、1982年に『Missing』として再発売されました。監督はコスタ＝ガヴラスが務め、主な出演者にはジャック・レモンとシシー・スペイセクが名を連ねています。

本作は第35回カンヌ国際映画祭において最高の栄誉であるパルム・ドールを受賞し、またジャック・レモンは男優賞も獲得しました。さらに、第55回アカデミー賞でも脚色賞を受賞するなど、多くの評価を得た作品です。

ストーリー

物語は1973年、軍事クーデターが発生したチリを舞台に展開されます。アメリカ人青年チャールズ・ホーマンは、妻ベスと幸せな日々を送っていました。しかし、突如としてチャールズが行方不明となってしまいます。妻のベスは夫の失踪を心配し、彼の父エドに助けを求めます。

エドはニューヨークで成功したビジネスマンですが、彼の価値観は妻と異なり、息子との関係はあまり良好ではありません。ベスと共に現地に向かったエドは、チャールズの行方を追いながら、チリの政情と絡めてその背後に潜む陰謀に直面することになります。チャールズの失踪はクーデターと密接に関連しており、米国政府が関与している可能性も示されます。

登場人物

• - エド・ホーマン：チャールズの父。敬虔なキリスト教徒で保守的な価値観を持つ。
• - ベス・ホーマン：チャールズの妻。彼女は夫の無事を願い、真実を追求する強い意志を持つ。
• - テリー・サイモン：チャールズの友人で、彼とともに奔走する。
• - チャールズ・ホーマン：理想主義者で作家を目指していたが、政情に巻き込まれて失踪する。

映画の意義

『ミッシング』は単なる失踪劇にとどまらず、権力と人間の無力さ、倫理的選択の難しさを浮き彫りにした作品です。また、政治的な背景を通じて、観客にさまざまな問いを投げかける存在意義を持っています。特に、クーデターという歴史的事件を通じて描かれる人間の苦悩は、多くの人々に共感と考察を促します。

日本では1986年に日本テレビで放送されました。また、映画はチリでのクーデターやピノチェト政権に関する他の作品とも関連があります。興味のある方は、ぜひこの映画を通して歴史の一面を学んでみてはいかがでしょうか。

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