ミツバアケビ

ミツバアケビ（三葉木通）の詳細解説

ミツバアケビ（学名: Akebia trifoliata）は、アケビ科アケビ属に分類される落葉性のつる植物です。日本では北海道から九州にかけての山地に自生し、秋には甘く食用可能な果実を実らせます。アケビと同様に、古くから人々に親しまれてきた植物であり、その特徴的な葉の形状から「三葉」の名がついています。

分布と生育環境

ミツバアケビは、日本と中国に分布しています。日本では、北海道から九州までの広い範囲の山地に自生しており、特に山間部の明るい森林を好みます。アケビと比較すると、より山奥に生育することが多く、荒れ地や乾燥した場所でも繁殖する強い生命力を持っています。耐寒性にも優れており、北海道のような寒冷地でも自生が確認されています。

形態と生態

ミツバアケビは、落葉性のつる植物で、他の樹木に絡みつきながら成長します。つるは右巻き（S巻き）で、太いものでは直径2cmに達します。樹皮は灰褐色から紅褐色で、丸い皮目があり、成長すると不規則な亀裂が入り剥がれることもあります。

葉

葉は互生し、掌状の3出複葉です。小葉は長さ4〜6cm、幅1.5〜4cmの卵形または広卵形で、縁には波状の鋸歯があります。葉柄は長く2〜14cm、小葉柄は0.3〜3cmです。通常は落葉性ですが、温暖な地域では冬でも葉が残ることがあります。葉の表面は濃緑色、裏面は淡緑色で、両面とも無毛です。

花

花期は4〜5月で、若葉とともに開花します。雌雄同株で雌雄異花です。アケビよりも濃い紫色の花を咲かせます。雄花は花序の先に多数つき、雌花は基部に1〜3個つきます。雄花は直径4〜5mmで、萼片は3枚、雄しべは6本です。雌花は直径15mmほどで、萼片は3枚、雌しべは3〜6本です。花弁はありません。

果実

果実は液果で、秋（9〜10月頃）に熟します。長さ10cmほどの繭形か長楕円形で、アケビよりも先端側が膨らんで太いのが特徴です。果皮は緑色から紫色または赤紫色に変わり、熟すと裂開して白いゼリー状の果肉が現れます。果肉は甘く、黒色の種子を多数含みます。

冬芽

冬芽は卵形で、赤褐色の芽鱗に覆われています。葉痕は半円形から腎形で、維管束痕は7個です。

利用

ミツバアケビは、果実、若芽、つるがそれぞれ利用されています。

食用

果実: 秋に熟した果肉は生食でき、甘く美味しいです。
若芽: 春先の若芽は、東北地方では「キノメ」と呼ばれ珍重されます。茹でて、おひたしや和え物、汁の実、炒め物などに使われます。若芽や果皮には独特の苦味と歯ごたえがあります。
調理例: 若芽を米飯に混ぜて「木の芽飯」にしたり、果皮に挽肉の味噌炒めを詰めて焼いて食べることもあります。

民芸品

つるは柔軟で丈夫なため、籠などの民芸品に利用されます。特に籠編みの材料として最高級品とされ、様々な生活用具に加工されてきました。

脚注

(参考文献リストは省略)

関連資料

(参考文献リストは省略)

関連項目

熊本大学 薬用植物データベース
日光植物園 (東京大学付属施設)
プランツ・フォー・ア・フューチャー

外部リンク

(外部リンクリストは省略)

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