ミドルメディア

従来のマス媒体と、ブログやSNSといった個人が情報を発信するパーソナルメディアとの中間に位置づけられる情報媒体は、「ミドルメディア」と呼ばれます。これはジャーナリストの藤代裕之氏によって提唱された概念です。

インターネットの普及によって個人が発信する情報が爆発的に増加し、インターネット上には膨大な情報が溢れかえりました。これにより、ユーザーが必要とする情報を見つけ出すことが困難になるという課題が生まれ、無数に存在する情報の中から価値のあるものを選び出し、特定の読者層に向けて整理・提供する媒体の必要性が認識されるようになり、ミドルメディアが注目されるようになりました。ミドルメディアは、不特定多数ではなく、特定の関心や興味を持つ読者層、概ね数千人から数十万人規模のコミュニティを主な対象としています。特定の業界関係者、企業、あるいは特定のライフスタイルに関心のある層など、多様なコミュニティに向けて、専門的な情報やニッチな情報を発信します。

ミドルメディアの形態は様々ですが、大きく二つに分類できます。一つは「プラットフォーム提供型」と呼ばれるもので、ユーザー自身が積極的に情報に参加し、評価や整理を行う仕組みを提供する形態です。ソーシャルブックマークサービスやソーシャルニュースサイトなどがこれに該当し、集合知を活用して情報を選別します。もう一つは「編集型」です。こちらは、編集者や運営者が主体となって情報を収集・選別し、読者にとって有益と判断した情報をまとめて提供する形態です。インターネット上のニュースを編集・配信するサイトや、特定のテーマに沿ってネット上の情報を集める「まとめサイト」などがこれに該当します。

現在活動している代表的なミドルメディアには、「ガジェット通信」「J-CASTニュース」「ロケットニュース24」「らばQ」「ハフポスト」などがあります。匿名掲示板の情報を集約したまとめサイトもこのカテゴリに含まれます。

ミドルメディアは運営形態が非常に多様であり、情報の信頼性も玉石混交です。積極的に取材活動を行い信頼性の高い情報発信に努める媒体がある一方で、単に話題の情報やアクセスを稼ぎやすい情報を集めるにとどまり、中には虚偽や誇張、あるいはデマを含むようなサイトも存在します。読者は、それぞれのメディアの方針を注意深く見極める必要があります。

ミドルメディアが抱える問題点も指摘されています。個人発信情報を基にすることが多いため、インターネット上の「炎上」現象を助長する可能性があること。また、一部のまとめサイトでは、事実に基づかない虚偽や誇張が含まれた記事が多く見られるという問題も指摘されています。情報の受け手は批判的な視点を持つことが求められます。

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