ミナミヒメミミズハゼ

ミナミヒメミミズハゼ（南姫蚯蚓鯊）

ミナミヒメミミズハゼ（Luciogobius ryukyuensis）は、琉球列島に固有のミミズハゼ属に分類される魚の一種です。長らくミミズハゼの地域個体群とみなされ、絶滅の恐れがあるとして保護の対象となっていましたが、2006年にミミズハゼから分離され、2008年に新種として記載されました。

分布

ミナミヒメミミズハゼは、奄美大島、沖縄島、久米島、石垣島、西表島といった琉球列島の島々に分布しています。また、和歌山県の一部の河川にも生息が確認されています。さらに、濃尾平野とその周辺地域、福井県においても、ミナミヒメミミズハゼと同一種、または近縁種と考えられる生物の存在が報告されていますが、これらの地域に関する情報はまだ十分ではありません。

主な生息場所は、河川の中流域における転石や砂利の間です。

形態

全長は5～6cm程度です。背鰭、臀鰭、胸鰭は退化しておらず、それぞれ背鰭条数9-11、臀鰭条数9-12、胸鰭条数15-18、脊椎骨数37-38です。ミミズハゼと比較すると、背鰭条数と臀鰭条数が少ない点が特徴です。肛門は臀鰭の基部のすぐ前に位置し、胸鰭の上部には非常に小さな遊離軟条が1本存在します。頭部は小さく縦に扁平しており、体は細長い形状をしています。体色は黄褐色で、体と頭部の腹側は白色をしています。成熟したオスは頭部が左右に張り出すようになり、メスは腹腔内の卵によって腹部が橙赤色を帯びます。

生態

繁殖期は12月から3月にかけてです。河口の干潮時に瀬となる場所で産卵を行います。

保全状況

ミナミヒメミミズハゼは、生息地が局所的であるため、人為的な影響を受けやすい状況にあります。道路建設、河川改修、農地開発などによって生息地が破壊され、個体数が減少しています。環境省のレッドリストでは、絶滅危惧II類 (VU) に指定されています。

絶滅危惧II類 (VU)：環境省レッドリストにおけるカテゴリーの一つで、絶滅の危険が増大している種を指します。

脚注

環境省レッドリスト

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