ミネソタ多面人格目録

ミネソタ多面人格目録（MMPI）について

ミネソタ多面人格目録（MMPI）は、心理学的検査の一つで、質問紙法を用いて個人の性格や心理状態を評価します。その名前は、アメリカ・ミネソタ州の大学病院で1943年に開発されたことに由来しています。現在、MMPIは様々なバージョンが存在しており、2020年にはMMPI-3が公開されました。これにより、MMPIは心理測定の新たなスタンダードとして位置づけられています。

開発の背景

MMPIの開発は、ミネソタ大学の心理学者S.R.ハサウェイと精神科医J.C.マッキンリーによって始まりました。彼らは当時の精神疾患の診断に役立つ客観的な基準を確立することを目指していました。既存の測定法が信頼性に欠けていると感じた彼らは、1000以上の質問を集め、その中から優れた検査項目を選別しました。

彼らの研究では、ミネソタ大学病院の患者や一般人を対象に調査が行われ、504の質問が正常群と臨床群に対してテストされました。この結果、有意差のあった項目を元にして、臨床尺度が設定されました。

検査の基本構成

MMPIは、主に妥当性尺度と臨床尺度から構成されます。特に最初のMMPIでは、4つの妥当性尺度（？尺度、L尺度、F尺度、K尺度）があり、これらは被験者の回答の信頼性を測定する上で重要です。例えば、L尺度は被験者が自身を良く見せようとする傾向を反映しています。

臨床尺度は診断名そのものを示すわけではなく、後に多くの研究で示されたように、さまざまな心理的特徴を測るための指標です。臨床尺度は、神経症的傾向や精神病的傾向を捉えるために作られ、患者の心理的状態を洞察するためのツールとして使われます。

バージョンの進化

最初のMMPIが発表されてから、MMPI-2とその後継であるMMPI-3が開発されました。MMPI-2では、質問項目数が567に増え、より詳細な分析が可能になっています。さらに、MMPI-3は、42の臨床尺度や特定の問題領域に焦点を当てた尺度を備えるなど、進化を続けています。これにより、診断の精度が高まっています。

日本における導入

MMPIは、1963年に日本語版が発表されたことから、日本でも使用されるようになりました。しかし、当初の日本版にはいくつかの誤訳や標準化の問題がありました。そのため、1990年代に新たな日本版が開発され、1993年に公刊されました。最近では、MMPI-3の日本版も2022年に出版され、心理医療の現場で広く利用されています。

国際的な利用状況

MMPIは、その信頼性から世界中で広く使用されています。130以上の言語に翻訳され、90カ国以上で実施されています。また、それぞれの国でMMPIの適切な使用法が研究されており、心理的な評価の主要な手法の一つとなっています。特に、アメリカや英語圏では高い人気を誇り、最新のMMPI-3の使用率が50％を超える国もあります。

総括

ミネソタ多面人格目録は、心理検査の分野で数十年にわたって進化し続けてきました。検査の根本的な目的は、精神的健康を客観的に評価することにありますが、研究を重ねることで得られた知見によって、MMPIは多岐にわたる場面での有用性を発揮しています。この点において、MMPIは現在も進化し続けており、心理学の重要な資源であり続けるでしょう。

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