ミハイル・ポクロフスキー

ミハイル・ニコラエヴィチ・ポクロフスキーの生涯と業績

経歴

ミハイル・ニコラエヴィチ・ポクロフスキーは1868年にモスクワに生まれ、裕福な州議会議員の家族に育ちました。1891年にはモスクワ大学の歴史文学部を卒業し、その後ロシア社会民主党に参加。1906年にはモスクワ市委員に、翌年には中央委員に選出されました。しかし、1909年には政治的弾圧を避けてパリに亡命し、そこで研究活動や党機関紙『ナシェ・スローヴォ』の編集に従事しました。

1917年のロシア革命の際には帰国し、ボルシェヴィキやメンシェヴィキとは異なる立場の「メジライオンカ」というグループに参加しました。その後、新聞『イズヴェスチア』の編集委員を経て、十月革命後にはモスクワ・ソヴィエトの議長として重要な役割を果たしました。また、ブレスト・リトフスク講和会議にも出席し、彼の歴史学と政治活動は密接に関係していたことが伺えます。

1929年には科学アカデミーの正会員となり、社会主義アカデミーの初代総裁としても活動を開始しました。晩年には歴史研究の発展や後進の歴史家の育成に尽力し続けましたが、彼の死後にロシア共産党から除名されました。しかし、1962年には名誉が回復され、1967年には彼の著作集が公刊されました。

思想と業績

ポクロフスキーの学説は、特にロシア史における史的唯物論の具体化に大きな影響を与えました。彼の指摘によると、ロシア史には商業資本という重要な歴史的要素が存在し、これが国家形成に寄与していたとされています。封建制を解体する役割を担ったのが商業資本であり、ポクロフスキーはこの点を強調しました。

彼は16世紀のモスクワ国家において商業資本を蓄えた市民階級が存在し、教会や貴族に対抗できる力を持っていたと論じました。この見解は、ロシア資本主義が他のヨーロッパ諸国と同様の発展段階を経ているという前提に基づいており、特に彼はブルジョアジーやプロレタリアートに対して「後進性」の認識を批判しました。

ポクロフスキーはトロツキーの見解を批判し、ロシアにおける資本主義の基盤として商業資本を誇張する傾向がありました。彼は歴史の発展を厳密に序列化し、事件の背後にある経済的要因を重視することで知られています。しかし、1930年には、ロシアの革命が外的条件に欠けていることを認め、彼自身の学説の限界を示唆しました。

ポクロフスキーの研究は、帝政ロシアの過去の否定や、ロシア人が他民族に対して行った征服と略奪の歴史を暴露する側面を持っています。これらの主張はスターリン政権下では反国家的と見なされ、彼の考えは学界から排除されました。

主な著作

ポクロフスキーの主要な著作には、以下が含まれます：

• - 『最古代ロシア史』 (4巻)
• - 『簡略ロシア史』 (3巻)
• - 『ロシア文化史概説』
• - 『19世紀および20世紀におけるロシア革命運動史概論』 (3巻)
• - 『十月革命』
• - 『著作集』 (全4巻)

彼の業績は、ロシア史に対する理解を深める上で重要な位置を占めており、その思想は現代の歴史家や研究者にも影響を与え続けています。

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