ミハイロ・ペトロヴィチ

ミハイロ・ペトロヴィチ＝ニェゴシュ（1908年9月14日 - 1986年3月24日）は、モンテネグロ王国の王族であり、旧統治者ペトロヴィチ＝ニェゴシュ家の家長として、ミハイロ1世を名乗りました。彼の生涯は、激動の20世紀の歴史を反映したものでした。

生い立ちと亡命

ミハイロは、モンテネグロ王ニコラ1世の次男ミルコ大公と、セルビアのオブレノヴィッチ王家の血を引くナターリヤ・コンスタンティノヴィチの間に生まれました。第一次世界大戦中、モンテネグロがオーストリア＝ハンガリー軍に占領されると、家族とともにイタリアへ亡命。その後、イングランドで教育を受けました。大戦後、モンテネグロはセルビアに併合されたため、王家は亡命生活を余儀なくされました。

王位請求権の放棄

1921年、祖父ニコラ1世の死後、伯父ダニーロが家督を放棄したため、13歳という若さでミハイロがモンテネグロ王家の家督を継承しました。しかし、1929年には王位請求権を放棄し、ユーゴスラビア政府に忠誠を誓いました。この決断は、ユーゴスラビア王アレクサンダル1世に受け入れられ、年金が支給されることとなりました。

第二次世界大戦とナチスの拘束

1941年、ミハイロはジュヌヴィエーヴ・プリジャンと結婚。しかし、ナチス・ドイツのフランス侵攻により、彼はナチスに拘束され、ボーデン湖畔の城に幽閉されました。ナチスは彼に、イタリア占領下のモンテネグロに建国される予定の傀儡政権の王位に就くよう求めましたが、ミハイロはこれを拒否。強制収容所に送られましたが、伯母のエレナ王妃の嘆願により解放されました。

その後もナチスによる拘束は続き、チェコスロヴァキアの収容所に収監されましたが、大戦末期に解放され、フランスへ帰国しました。

共産主義政権との関係と晩年

1947年、ミハイロはヨシップ・ブロズ・チトーの招きでユーゴスラビアへ移住し、政府の要職に就きました。しかし、チトーとの関係は悪化し、1948年にはフランスへ帰国。その後は、亡命セルビア人団体に加盟し、共産化されたユーゴスラビアの解放運動に尽力しました。1986年、ミハイロはパリで亡くなり、セルビア正教会の墓地に埋葬されました。

ミハイロ・ペトロヴィチ＝ニェゴシュの生涯は、王位を巡る複雑な状況、ナチス・ドイツの占領、そして共産主義政権との関係など、激動の時代を生き抜いた王族の姿を伝えています。

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