ミハル・コヴァーチ

ミハル・コヴァーチ（1930年8月5日 - 2016年10月5日）は、スロバキアの政治家であり、1993年から1998年までスロバキア共和国の大統領を務めました。

リュビシャで生まれたコヴァーチは、ブラチスラヴァ経済大学を卒業後、チェコスロバキア国立銀行などに勤務しました。1989年から1991年まではスロバキア社会主義共和国の財務相を務め、政治家としてのキャリアをスタートさせました。

1989年のビロード革命後、コヴァーチは民主化運動に積極的に参加し、1991年初頭には、暴力に反対する公衆（VPN）の創設に参画、副議長に就任しました。1992年の総選挙後には、チェコスロバキア連邦議会の議長に選出され、連邦の解体とスロバキアの独立に向けて重要な役割を果たしました。

1993年2月、コヴァーチは独立を果たしたスロバキア共和国の初代大統領に選出されました。当初は最大政党であった民主スロバキア運動（HZDS）の支持を受けていましたが、HZDSの指導者であるウラジミール・メチアル首相との間に深刻な対立が生じ、1995年にはHZDSを除名されるに至りました。

コヴァーチの大統領在任中には、様々な困難がありました。1995年8月には、コヴァーチの息子が金融犯罪の容疑でドイツ当局から訴追され、その後誘拐されオーストリアで発見されるという事件が発生しました。この事件にはスロバキアの情報機関が関与した疑いが持たれ、メチアル政権崩壊後の調査でその関与が明らかになりましたが、司法当局は関係者の訴追を見送りました。この事件は、スロバキアの政治情勢に大きな影を落としました。

1998年に大統領職を辞任した後、コヴァーチは政界やメディアから距離を置き、静かな生活を送りました。しかし、スロバキアの民主化と独立に貢献した功績は、高く評価されています。

コヴァーチの弟であるドゥシャン・コヴァーチは歴史学者であり、スロバキア科学アカデミーの総裁を務めました。

ミハル・コヴァーチは、スロバキアの激動の時代を象徴する政治家の一人であり、その生涯はスロバキア現代史において重要な意味を持っています。

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