ミモラ 心のままに

ミモラ 心のままに

『ミモラ 心のままに』（原題：Hum Dil De Chuke Sanam / Straight From the Heart）は、1999年に公開されたインドの壮大な恋愛映画です。サンジャイ・リーラー・バンサーリーが監督を務め、インド映画界を代表するスター、サルマーン・カーン、アジャイ・デーヴガン、そしてアイシュワリヤー・ラーイが主演を務めました。この作品は、クレジット上は明記されていませんが、メイトリーイ・デヴィの小説『Na Hanyate』を下敷きにしているほか、ドイツ映画『みずうみ』からも影響を受けているとされています。さらに、過去のインド映画『Andha Ezhu Natkal』や『Woh Saat Din』のリメイク版であるという見方も広く存在します。

製作と背景

本作の撮影は、インド国内の美しいグジャラート州やラージャスターン州に加え、ハンガリーの首都ブダペストでも敢行されました。多様なロケーションが物語に彩りを加えています。公開に先立ち、インド国際映画祭でプレミア上映され、観客の注目を集めました。後年、2009年にはベンガル語でのリメイク作品として『Neel Akasher Chandni』が製作されています。

主要キャスト

物語の中心となる登場人物は、以下の俳優陣によって演じられました。

サミル・ロッセリーニ - サルマーン・カーン
ヴァンラジ - アジャイ・デーヴガン
* ナンディニ - アイシュワリヤー・ラーイ

この他にも、ゾーラ・セーガルが祖母役を、ヴィクラム・ゴーカレーがパンディット・ダルバール役を演じるなど、多くの実力派俳優が脇を固めています。特に、往年の名女優ヘレンがロッセリーニ役でゲスト出演し、その存在感を示しました。

音楽

本作のサウンドトラックは、映画の成功に欠かせない要素として広く評価されています。作曲はイスマーイール・ダルバール、作詞はメーブーブが手掛けました。カビータ・クリシュナマーシー、アルカ・ヤグニック、クマール・サーヌ、ウディット・ナーラーヤン、ハリハランなど、当時の人気歌手たちが多数参加し、感情豊かな楽曲を歌い上げています。

この音楽は、フィルムフェア賞において9部門もの賞を獲得するという快挙を成し遂げました。音楽評価サイト「プラネット・ボリウッド」では、ヴィクラム・バトナガールが満点の10星を与え、「これはヒンディー・サウンドトラックの歴史の中で最高の作品だ」と惜しみない称賛を贈っています。その楽曲は、映画公開から長年を経てもなお、多くの人々に愛され続けています。

評価と興行成績

『ミモラ 心のままに』は、商業的にも批評的にも大きな成功を収めました。興行収入においては、1999年に公開されたインド映画の中で第3位にランクインする大ヒットとなりました。また、海外市場でも8500万ルピーという収益を上げており、国際的な人気も博したことがわかります。

批評家からの評価も非常に高く、特にその映像美、心に残る音楽、そして主演を務めた三人の俳優たちの演技が絶賛されました。ゲスト出演したヘレンの演技も特筆すべき点として挙げられます。批評家のアヌパマ・チョープラーは、この作品を「3時間におよぶ壮大な叙事詩であり、ボリウッドの基準から見ても、歌、ロマンス、コメディ、信心、そして色鮮やかなダンスシーンが豊富に盛り込まれている」と評しました。また、インドの主要映画雑誌『フィルムフェア』は、「10年に一度現れる豪華絢爛な作品」と称賛し、「映画史的に見ても完璧な仕上がりであり、それだけでも観る価値がある。イスマーイール・ダルバールの音楽はただただ魅力的だ」と述べ、映像と音楽の両面から本作の質の高さを強調しました。

これらの高い評価と商業的な成功により、『ミモラ 心のままに』は、1990年代後半のインド映画を代表する傑作の一つとして、その地位を確立しています。

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