ミヤコグサ

ミヤコグサ（都草）

基本情報

ミヤコグサ（学名: Lotus japonicus）は、マメ亜科に属する多年草です。主に東アジアに広く分布しており、日本国内では北海道から南西諸島まで見られます。特に、日の当たる低い草原に多く生育します。

植物の特徴

ミヤコグサは、初めに花を咲かせる時、草丈が10〜30cm程度となります。その茎は地表を這うように成長し、根元で分枝します。葉は3出複葉で、白っぽい緑色をしており、やや粉っぽく見えます。形は卵形から楕円形で全縁です。

また、4月から8月にかけて、花柄を伸ばし、先端には1〜3個の黄色い花を咲かせます。美しい蝶形の花は典型的な形状をしており、栽培条件下では紹介が困難な自動受粉を行います。花の萼は筒状で、全体として無毛です。

果実は細長い円柱形をしており、成熟することで弾けて種子を散布します。根には他のマメ科植物と同様に根粒を形成したり、窒素固定を行う微生物と共生しています。これは、主にMesorhizobium属に属しています。

日本国内での分布と歴史

日本では、最初に朝鮮半島から対馬を経由し、九州へ広がったとされます。その後、最終氷期の終わりに伴い、分布域が拡大しました。ミヤコグサの染色体数は2n = 12で、ゲノムサイズは約450Mbとされています。

名前の由来

「ミヤコグサ」という名前は、恐らく「都草」または「脈根草」を意味していると考えられていますが、起源は不明です。最古の文献には『大和本草』中に記載されており、京都大仏の近くに多く生えていたことから名づけられたと言われています。また、別名として「烏帽子草」や「淀君草」などもあります。

科学的な位置付け

以前はセイヨウミヤコグサ（L. corniculatus）の変種として扱われましたが、近年の研究により独立した種と認識されています。ゲノム解析によって、ミヤコグサの近縁種としてL. burttiiおよびL. kryloviiが示唆されています。

研究における位置付け

ミヤコグサはマメ科植物の優れたモデル植物として評価されています。特に、共生窒素固定に関する研究など多様な分野で用いられています。日本ではナショナルバイオリソースプロジェクトの一環として、さまざまな系統が収集・保存されています。

分集団分析と環境適応

最近の集団ゲノミクス研究によれば、日本国内には3つの遺伝的分集団があります。これにより、遺伝的多様性が地域ごとに異なることが明らかになりました。特に、北部集団は南部集団に比べて遺伝的多様性が低いことが分かっています。これは、ミヤコグサが分布を北方に広げる過程で、環境適応の影響を受けたことを示唆しています。

ミヤコグサの利用

ミヤコグサは近隣種に比べ、人々の利用は少ないですが、一部では食用や東洋医学での薬用としての利用があったかもしれません。特に近縁の種は、家畜の飼料や土壌侵食防止のために利用されています。

結論

ミヤコグサはその特徴と生態から環境研究や遺伝学的分析の重要な対象となっており、今後の研究が期待されています。

もう一度検索