ミュサヴァト党

ミュサヴァト党の歴史と影響

ミュサヴァト党（アゼルバイジャン語: Müsavat Partiyası、通称平等党）は、アゼルバイジャンの政治シーンにおいて重要な役割を果たしてきた政党です。1911年に設立され、アゼルバイジャン史上最初の政党として知られています。党の歴史は、大きく三つの時代に分かれます。第一に、結党からロシア内戦までの旧ミュサヴァト党時代、第二にソビエト連邦成立後の亡命時代、そして最後にペレストロイカ期から現在に至る新ミュサヴァト党時代です。

旧ミュサヴァト党時代

ミュサヴァト党の起源は、バクーで1911年に設立された秘密結社にさかのぼります。創設メンバーにはメフメト・エミーン・ラスールザーデを含む高い知識を持つ専門家たちが名を連ねており、当初は「ムスリム民主ミュサヴァト党」と名付けられました。この党は、イスラム世界やテュルク諸語圏の繁栄と政治的統一を目指して活動を始めました。

第一次世界大戦前、ミュサヴァト党は汎イスラーム主義や汎テュルク主義の理念を持っていましたが、戦争中は逆に帝政ロシアを支持しました。そのため、ロシア社会民主主義者や他の民族主義者からの批判を受け、党の存在は「裏切者」と見なされることもありました。当時の党の大半のメンバーは上流階級出身でしたが、新たに入党した会員の多くは教育を受けていない下層のムスリムでした。

1917年の革命後、ミュサヴァト党はその存在を公にし、バクーのムスリム社会組織との連携を強めました。党はカフカース地域での影響力を拡大し、1918年にはアゼルバイジャン民主共和国が樹立されると、党は国会で第一党となりました。この政権下でアゼルバイジャンは、イスラム世界において初めての世俗主義的な民主国家となりました。

独立時代

アゼルバイジャン民主共和国は1918年に独立を宣言し、ミュサヴァト党は国民議会の第1回会議で重要な役割を果たしました。しかし1920年にボリシェヴィキによって政権が倒されると、党は地下に潜伏せざるを得なくなり、多くの党員が逮捕される結果となりました。この時期、党は活動の場を海外に移し、イスタンブールでの亡命組織が活動を展開しました。

亡命時代

亡命中のミュサヴァト党は、アゼルバイジャンのための活動を続ける一方で、他の亡命者とも連携を強化しました。1923年からは外務局を設置し、各地域で党の機関紙を発行しました。この時期、党の指導者は多くの変遷を経て、メフメト・エミーン・ラスールザーデが主に実権を握っていました。

新ミュサヴァト党時代

1989年にはアゼルバイジャン国家民主新ミュサヴァト党が設立され、1992年には正式に党として復活しました。その後、党首は選挙で得票率を上げながら、独自の立場を維持し続けています。

政治的には、アゼルバイジャン政府に対して批判的な立場を取っており、民族主義的な主張を行っています。ミュサヴァト党の歴史は、アゼルバイジャンの政治的環境の変化を反映したものでもあり、国のアイデンティティ形成にも影響を与えています。これからの党の動向も、アゼルバイジャンの将来に大きく関わることでしょう。

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