ミラス (ミサイル)

ミラス対潜ミサイル

ミラス（フランス語: MILAS）は、イタリアのオート・メラーラ社とフランスのマトラ社が共同で開発した先進的な対潜ミサイルです。海軍のニーズに応えるために設計されたこの武器は、潜水艦に対する攻撃能力を大幅に向上させています。

来歴

ミラスの開発は1970年代後半に始まりました。当時、フランス海軍は長距離の対潜火力を重視していたものの、哨戒ヘリコプターの運用にシフトしていました。しかし、その方針が変更されると、ミラスの開発が再検討されることとなります。1985年には公式な開発要求が出され、1987年に設計が採択されました。同年9月には、両社間で了解覚書（MoU）が締結されました。初めての試作弾による試射は1989年6月に行われ、1994年にはイタリア海軍の試験艦「カラビニエーレ」を使用して完成弾による試射も実施されています。

設計

ミラスは、両社が共同開発したオトマートMk.2艦対艦ミサイルをベースにしており、主に対潜作戦で使用される短魚雷を搭載しています。このミサイルは200メートルの巡航高度で飛行し、飛行中に目標情報を更新することが可能です。また、フランス海軍は長距離の探知能力を求めていたため、ミラスは約35キロメートルの射程を持ち、この距離をわずか3分で飛翔することができます。

即応性の面でもミラスは優れた性能を発揮します。哨戒ヘリコプターが15分待機する必要があるのに対して、ミラスは短時間で攻撃準備を整えることができるため、作戦の効率が向上します。理論的には、直線距離での射程は最大で60キロメートルに達することができるため、非常に戦略的な武器として位置付けられています。

ミサイルが目標に近づくと、ターボジェットのエンジンが停止し、まずは減速用のパラシュートが開きます。その後、搭載されている短魚雷が切り離され、姿勢制御装置を備えたパラシュートによって正しい姿勢を保ちながら安全に水面に着水します。着水後は音響ホーミング機能によって敵潜水艦を自動的に捕捉し、追尾を開始します。しかし、長距離での目標捕捉公算は約15％とされており、成功率には限界も見られます。

さらに、短魚雷には両国が共同で開発したMU90「インパクト」が標準として使われていますが、他にもイギリスのスティングレイやアメリカのMk.46など、様々な弾頭への換装が可能です。これにより、作戦の多様性と柔軟性が一層高まっています。

結論

ミラスは、フランス海軍に新たな攻撃力を加えるための重要な武器として位置づけられており、対潜作戦において高い機動性と即応性を誇るミサイルです。その革新的な設計と性能は、潜水艦に対する脅威を大幅に増強させ、海軍戦力の強化につながっています。

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