ミラン (ミサイル)

ミラン対戦車ミサイル

ミラン（仏: Milan）は、対戦車ミサイルの中でも第2世代に分類される兵器です。このミサイルの開発は1962年に始まり、1971年には完成を見ました。その後1972年からは実際の運用が開始されました。名称である「Milan」は、フランス語で「歩兵用軽対戦車ミサイル」を意味する「missile d'infanterie léger antichar」に由来しています。これは、歩兵によって運用されることを強調しており、軽量で扱いやすい特徴を持っています。

このミサイルは、フランスと当時の西ドイツによって共同開発されましたが、その後、イギリスのブリティッシュ・エアロスペースをはじめ、スペインやインドでもライセンス生産が行われるようになりました。このように、多国籍での生産・運用が可能なため、多くの国々に採用されています。

誘導方式

ミランは誘導に半自動指令照準線一致誘導方式を採用しており、発射機が目標に照準を合わせることでミサイルが誘導されます。このため、発射者は発射後も目標を確認しながらミサイルの進行方向を調整することが可能です。また、MIRA赤外線照準装置を用いれば、夜間でも精度の高い射撃が実現できます。

運用実績

このミサイルは歩兵によって運用されるほか、車載型も存在しており、様々な戦闘シーンで使用されています。

例えば、2003年のイラク侵攻では、イギリス軍のチャレンジャー2戦車に対し、1基のミランが攻撃を行ったものの、戦車の装甲によって撃破には至りませんでした。この事例は、ミランの能力とは裏腹に、防御力の高い現代戦車に対する限界を示すものでした。

さらに、2006年のイスラエル・レバノン紛争では、ヒズボラがイスラエル戦車を攻撃しており、これに使われたミランはシリアまたはイランから供給されたものではないかと考えられています。これにより、ミランが非正規軍によっても使用されていることが明らかになりました。

派生型

ミランにはいくつかの派生型があります:

• - ミラン: 初期型で成形炸薬弾頭を搭載（1972年）
• - ミラン 2: 成形炸薬弾頭を改良した型（1984年）
• - ミラン 2T: タンデム成形炸薬弾頭を搭載する型（1993年）
• - ミラン 3: より改良されたタンデム成形炸薬弾頭を搭載
• - ミラン ER: 射程を延長した型

このように、ミランは時代とともにその性能を進化させ、多様な戦場でのニーズに応えています。運用国は多岐にわたり、歩兵中心の運用から車両はもちろん、特定の軍事力を持つ国家の装備品としても広く認知されています。ミランは正確性と運用の柔軟性から、今もなお現場での需要が高い兵器の一つです。

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