ミラン1世 (セルビア王)

ミラン・オブレノヴィチ（1854年8月22日 - 1901年2月11日）は、セルビア公（ミラン・オブレノヴィチ4世）、後にセルビア王として、19世紀後半のセルビアにおいて重要な役割を果たしました。オブレノヴィチ家の出身であり、その生涯はセルビアの政治的変動と深く結びついています。

カラジョルジェヴィチ家がセルビアを支配していた時代、ミランは亡命先のワラキアで生まれました。幼くして両親を亡くし、父ミロシュの従兄であるセルビア公ミハイロ・オブレノヴィッチ3世の庇護のもとで育ちました。

1861年、ミハイロがセルビア公に復位すると、ミランはパリの名門リセ・ルイ＝ル＝グランで教育を受けました。フランスでの教育は、彼の国際的な視野を広げ、後の政治的決断に影響を与えたと考えられます。

1868年、ミハイロが暗殺されるという悲劇が起こり、わずか14歳でミランは摂政のもとでセルビア公に即位することになりました。若年であったため、当初は摂政政治が行われましたが、1872年からは親政を開始しました。

ミランの治世は、セルビアの国際的な地位向上と近代化を推し進める上で重要な時期でした。彼は、オーストリアとロシアという二つの大国の間で巧みなバランスを取りながら、セルビアの国益を守ろうとしました。特に露土戦争後のベルリン条約においては、オスマン帝国の従属から脱却し、セルビアの独立を確立することに成功しました。

1882年、ミランはセルビア王を宣言し、セルビアは王国となりました。これにより、セルビアは名実ともに独立国家として国際社会に認められることとなりました。しかし、彼の治世は国内の政治的対立や社会不安とも隣り合わせでした。

1889年、ミランは退位し、息子のアレクサンダルが王位を継承しました。しかし、アレクサンダルはまだ若かったため、母であるナタリヤ王妃が摂政を務めることになりました。ミランの退位後も、セルビアの政治情勢は不安定な状態が続きました。

ミラン・オブレノヴィチは、セルビアの独立と近代化に貢献した一方で、その政治手法や私生活においては賛否両論がありました。彼の生涯は、セルビアの激動の19世紀を象徴するものと言えるでしょう。

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