ミラージュ5Aマラー (航空機)

ミラージュ5Aマラー（Mirage 5A MARA）

ミラージュ5Aマラーは、ペルーが開発したミラージュ5Pの近代化改修型として知られています。特にアルゼンチンがマルビナス戦争（フォークランド紛争）の際に、主力戦闘機であるダガーの損失を補うために導入した戦闘攻撃機です。名称にはミラージュ5Pマラー、ミラージュM-5マラー、または単にM-5マラーといった呼び名もあります。

輸入経緯（ミラージュ5P）

ダッソー社はペルーに対して多数のミラージュ5Pを提供しており、その中から10機がマルビナス戦争の期間中にアルゼンチンに輸出されました。この戦争によって、アルゼンチン空軍はダガー機を多く失っており、隣国であるペルーから急いで機体を調達する必要がありました。正式な契約書には1981年12月に輸出契約が締結されたと記載されていますが、実際の交渉は戦争の進行中に行われ、輸出は戦争の末期である6月に実施されました。

これらの機体は、もともと失われたダガーに付与されていた機体番号を与えられた後、最終的には600番台が割り振られ、番号の下二桁は失われたダガーのものと紐付けられました。このため、実際の機体番号は飛び番になっているのが特徴です。

近代化改修（ミラージュ5A）

輸入された機体の大半は、その後ミラージュM-5A MARAという名称の近代化改修型に改修されることとなりました。この改修型は、ペルーのP4規格に比べると劣るものですが、戦闘機の性能向上を目的としています。もともと輸出された10機の中の1機（C-607）は事故で失われたため、改修を受けたのは9機となりました。

近代化改修の詳細については明らかではない部分も多いとされていますが、少なくとも兵装発射と航法システム（WDNS）、イスラエル製のリットンWN-33慣性航法装置（INS）、ヘッドアップディスプレイ（HUD）などが装備されています。また、レーダーに関してもトムソンCSFアイーダIIの導入があるとの情報があります。

この改修の中で特筆すべきは、マトラR.550マジック1空対空ミサイルとの運用能力を追加した点と、イスラエルのフィンガー近代化改修規格のために開発されたエリスラMGN-80 RWR（レーダー警戒受信機）システムが統合されたことでしょう。

退役

現存するミラージュ5Aマラーは、すべて第6航空旅団隷下の第6戦闘航空群で運用されており、同航空群ではフィンガー（近代化改修型のダガー）やフランス製のオリジナルミラージュIII EAと並行して運用されています。これらの機体の累積飛行時間は、2002年6月には13000時間に達し、2015年11月29日に他のミラージュ機とともに退役を迎えました。

このように、ミラージュ5Aマラーは短い歴史の中でさまざまな役割を果たしてきた戦闘機であり、アルゼンチンの空軍における重要な一翼を担っていました。

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